神隠丸山遺跡

神隠丸山遺跡について

神隠丸山遺跡（かみかくしまるやまいせき）は、神奈川県横浜市都筑区にかつて存在した考古学的な複合遺跡であり、縄文時代中期から後期（約4400年前から3200年前）および平安時代前半（9世紀半ば）に遡る居館跡が含まれています。この遺跡は、神奈川県の港北ニュータウン遺跡群の一部であり、遺構は今では失われていますが、さまざまな文化的要素を語る重要な場所として位置づけられています。

立地と調査の経緯

神隠丸山遺跡は、鶴見川と早渕川に挟まれた丘陵地帯にあり、高さ約45メートルの台地に位置しています。かつての遺跡は約17,000平方メートルにわたって広がっていましたが、現在はその痕跡は見られず、第三京浜道路の都筑インターチェンジ南側出口の近くに位置していました。1965年から始まった港北ニュータウンの開発に伴い、埋蔵文化財調査が行われ、1978年から1980年には発掘調査も実施されました。

平安時代の居館跡

遺跡の上層部分からは、平安時代前半に建てられたとされる有力者の居館跡が発見されています。この居館は、南側に入口があり、正方形の区画溝に囲まれていました。居館内には4棟の掘立柱建物が存在しており、それぞれ異なる役割を持っていたと考えられています。特に、重要となる建物も含まれていましたが、他の集落とは異なる特徴的な構造を持っていることが際立っています。

縄文時代の集落の発見

遺跡の下層部分では、142軒の縄文時代の竪穴建物が確認されました。その中には、縄文前期の建物2軒を除いた95軒の中期の建物と、45軒の後期の建物が含まれていました。これらの建物は、広場を中心に掘立柱建物群と竪穴建物群が同心円状に展開している大規模な環状集落を形成していました。特に、この遺跡には、縄文時代の異なる時期に形成された「双環状集落」が見られる点が注目されています。

核家屋の発見

後期の集落内では、数多くのピット（柱穴）が重複して見つかることから、建物が長期間にわたって改築されることで存続していた可能性が指摘されています。このような大型建物は、考古学者の石井寛によって「核家屋」と名付けられ、同時期の集落遺跡では神隠丸山遺跡以外にも確認されています。これらの核家屋は、集落の中心的な役割を果たし、周囲に墓域が存在することから、住民の宗教的または社会的な生活における重要性が高かったと考えられています。

まとめ

神隠丸山遺跡は、縄文時代と平安時代に関連する豊富な遺構が残されており、歴史的・文化的な価値が高い遺跡として評価されています。港北ニュータウンの開発により遺跡は失われましたが、その調査成果は、当時の人々の生活を知る貴重な資料として、今もなお私たちに語りかけています。

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