神馬

神馬とは

神馬（しんめ/じんめ、かみうま）は、神が乗る馬として特別な敬意を持って扱われる存在です。この馬は日本の神社に奉納されたり、祭りの場において登場したりします。特に白馬が重んじられる傾向がありますが、馬の種類についての決まりはありません。

歴史的背景

奈良時代から、日本では祈願のために馬を奉納する伝統があります。この奉納は一般市民から皇族まで、広い範囲の人々によって行われてきました。ただし、小規模な神社では馬の世話が大変で、高価でもあるため、次第に絵馬などの代替的な方法が用いられるようになりました。さらに、等身大の馬の像が神馬と見なされることも一般的です。

絵馬と神馬の関係

『延喜式』には、特定の天候を祈る際に献納する馬の毛色についての指示があります。例えば、雨を願う際には黒毛の馬、晴れを願う場合には白毛の馬が適するとされています。このような習慣は後の能においても影響し、演目「絵馬」では神が黒馬や白馬の絵馬を掲げる様子が描かれています。

武士と神馬

中世の武士たちも、戦の勝利を祈念して神馬を奉納しました。たとえば、詩には「神馬に関する歌」が残されています。古くから存在する神社の中には、神馬舎や神厩舎が設けられ、馬の扱いに関する伝統が守られています。

現代における神馬

また、祭りなどの特別な行事においては、多くの馬が神馬として名付けられることもあります。特に競走馬が引退した後に神馬として奉納されることも見受けられます。

吉兆のシンボル

神馬は吉兆の象徴ともされ、中国の「符瑞図」では青みを帯びた黒毛の馬と白い髪と尾をもつ馬が神馬として記されています。また、『続日本紀』には、708年に肥後国から得られた神馬の記録があります。

神馬を奉納する神社

日本には神馬を飼育している神社が多数存在します。例として、伊勢神宮、神田明神、多度大社、住吉大社、宇佐神宮などがあります。これらの神社では、神聖な儀式の一部として神馬が重要な役割を果たしています。

神馬にまつわる文学

神馬に関する歌は古来から存在し、『吾妻鑑』にも将軍家の使いとして神馬を奉じた梶原景時が住吉社に歌を捧げたことが記されています。「我が君の 手向（たむけ）の駒を 引きつれて 行末遠き しるしあらわせ」という歌は、神馬の重要性を物語っています。

神馬は、単なる動物ではなく、神と人との繋がりを象徴する重要な存在です。日本の文化や歴史のなかで、神馬が果たす役割は今後も大切に受け継がれていくでしょう。

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