神龍院梵舜

神龍院 梵舜 (しんりゅういん ぼんしゅん)

概要

神龍院梵舜は、1553年に生まれ、1632年に亡くなった戦国時代から江戸時代初期の神道家です。彼は豊国廟の社僧として知られ、徳川家康の葬儀にも深く関与しました。

生涯

梵舜は吉田兼右の次男として誕生しました。家族の習わしに従い、吉田家の氏寺である神龍院の住職となりました。彼は兄の吉田兼見に比べて社会的地位は低く、才智も平凡とされていましたが、そのため広範な交友関係を持つことができ、行動の自由を得ることができました。

豊国廟の創立

1598年、豊臣秀吉が亡くなると、梵舜は兄と共に豊国廟の設立に尽力しました。彼は豊国神社の別当として、秀吉の七回忌のための臨時祭を開催し、後に徳川家康にも接見して神社の社領の安堵を受けました。もともと秀吉を弔うための祭祀が続けられていたものの、1615年の大坂の陣で豊臣家が滅びると、豊国神社の破却命令が下されました。船や金地院崇伝、板倉勝重らに頼んで東奔西走しましたが、破却の決定は覆らず、社殿は崩れていきました。それでも梵舜は残された地で祭祀を続けたのです。

神道家としての権威

豊国神社の維持は叶わなかったものの、梵舜は神道家としての地位を堅持しました。彼は神道に精通し、権力者たちに広く影響を与えました。特に豊臣秀吉や後水尾天皇、公卿たちに神道を論じて広めていました。1614年には後陽成上皇に神道の教義を提供することもありました。

徳川家との関わり

秀吉の死後、梵舜は徳川家康との関係も深め、彼の葬儀を執り行うことになりました。家康が亡くなると、梵舜は久能山に埋葬し、その際には各所の神社に祈願を行いましたが、津田三郎は彼の意図に疑問を呈しています。やがて、家康の一周忌の際に、改葬のデザインを巡る論争が起き、最終的には他の僧侶に押し切られ、家康は権現として祀られることになりました。

その後の人生

梵舜は、妙法院の僧侶たちから嫌がらせを受け、自身の神宮寺を妙法院に引き渡すことになりました。これを機に彼は神龍院へと移り住み、秀吉を鎮守大明神として祭ることを続けました。彼の晩年まで力強く祈願し続け、神社再興を願っていたとされています。

日記の重要性

梵舜は「梵舜日記」と呼ばれる詳細な日記を残しています。この日記は、近世初頭における政治史、特に豊国神社に関する歴史的貴重な資料として高く評価されています。彼の記録は、豊臣から徳川へと権力が移行する様子やそこにおける人間関係を貴重に伝えています。特に晩年の高台院との関係が注目を集めています。

死去と遺産

1632年、梵舜は80歳で亡くなりました。彼の神道家としての影響は、時代を超えて今も色褪せることはなく、神道史の重要な一翼を担った存在とされています。

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