祭政一致

祭政一致とは

祭政一致（さいせいいっち）とは、祭祀（さいし）と政治が一元化され、一体となっている状態を指します。ここでいう「祭」とは、単なるお祭りではなく、宗教的な儀式や祭典を意味し、「政」とは政治や統治を意味します。つまり、祭政一致とは、宗教的な権威と政治的な権威が同一人物や組織によって行使される状態を指します。

祭政一致の特徴

祭政一致の体制下では、政治的指導者が同時に宗教的指導者としての役割も担います。この思想や政治形態は、アニミズムを基盤とする古代社会に多く見られます。古代社会では、自然や精霊に対する信仰が強く、その宗教的な権威が政治的な権威と結びつきやすかったと考えられます。

日本における祭政一致

日本においても、祭政一致の歴史を辿ることができます。例えば、古代のヤマト王権では、巫（みこ）が神託を告げ、それが政治的な決定に影響を与えていました。また、琉球王国でも、宗教的な祭祀と政治が密接に結びついていました。

神道は、アニミズム的な宗教であり、祭政一致はその特徴の一つとされています。ただし、祭政一致は神道に限定されるものではなく、古代社会一般に見られる現象です。しかし、英語では「Saisei itchi」として、神道の用語として扱われることもあります。

柳川啓一は、祭政一致を、職業聖職者が直接統治を行う神権政治とは区別して定義しています。祭政一致は、主として古代天皇制の文脈で語られてきました。

明治時代の祭政一致

明治時代に入ると、明治新政府は「太政官布告」で王政復古と祭政一致を掲げ、神祇官を再興しました。この動きは、国家[[神道]]の成立と深く関わっています。

明治元年には「神祇官再興」が詔され、明治二年にも「祭政一致」に関する詔が出されています。さらに、明治三年には「宣布大教詔」において、祭政一致の理念が示されました。

祭政一致を巡る議論

祭政一致は、単に歴史的な概念としてだけでなく、現代社会においても様々な議論を呼んでいます。政教分離原則との関係や、国家と宗教の関係性など、複雑な問題を含んでいます。靖国神社問題なども、祭政一致の歴史的背景と深く関連しています。

祭政一致に関連する用語

皇道宣布運動
神祇官
神権政治
政教一致
神道国教化
皇学
政教分離原則
皇帝祭祀
国家[[神道]]
靖国神社問題

参考文献

世界大百科事典&マイペディア 第2版[CD-ROM]，ISBN 978-4816981838
広辞苑 第六版 DVD-ROM版，ISBN 978-4001301618
再演殿歴史資料集『大鳳』
安丸良夫・宮地正人編『日本近代思想大系5　宗教と国家』岩波書店，1988，ISBN 978-4002300054

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