宮地正人

宮地正人

宮地正人（みやち まさと）氏は、1944年1月17日生まれの日本の歴史家です。東京大学名誉[[教授]]であり、前国立歴史民俗博物館館長を務めました。専門は日本近代史で、特に幕末維新期の研究に力を注いでいます。

経歴

福岡県久留米市出身の宮地氏は、1962年3月に東京都立日比谷高校を卒業後、1966年3月に東京大学文学部国史学科を卒業しました。1968年には文学修士を取得し、1971年3月に東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻博士課程を中途退学しています。その後、東京大学文学部国史学科助手、東京大学史料編纂所助[[教授]]、教授を歴任しました。1995年から1997年までは東京大学史料編纂所所長を務め、2001年9月には国立歴史民俗博物館館長に就任（第5代）しましたが、2005年8月に退職しました。

人物・活動

宮地氏は、左派系歴史学者として知られています。歴史学研究会編集長、歴史科学協議会代表委員、日本歴史学協会学問思想の自由・建国記念の日問題特別委員長などを歴任し、国旗国歌法や新しい歴史教科書、沖縄戦集団自決の教科書記述削除などに反対する活動を行ってきました。また、「九条の会」の賛同者であり、植民地支配の完全な清算と歴史認識の共有を目指す「併合」100年日本委員会の呼びかけ人でもあります。

ペリーの白旗書簡論争

2001年、新しい歴史教科書が検定に合格した際、宮地氏は同教科書に掲載されていたペリーの白旗書簡に関するコラムを批判しました。このコラムでは、ペリーが幕末に来航した際、「開国要求を認めないならば武力に訴える」「降参するときには白旗を押し立てよ」と書かれた手紙を渡したとされていますが、宮地氏はこれを「明々白々の偽文書である」と断じました。この主張は、論文や書籍を通じて広く展開されました。この主張に対し、秦郁彦氏から反論が出ましたが、多くの研究者から宮地氏の主張を支持する声が上がっています。

主な著書

宮地氏は、多数の著作を発表しており、その研究成果は高く評価されています。

単著

『日露戦後政治史の研究』（東京大学出版会、1973年）
『幕末維新風雲通信』（東京大学出版会、1978年）
『天皇制の政治史的研究』（校倉書房、1981年）
『国際政治下の近代日本』（山川出版社、1987年）
『幕末維新期の文化と情報』（名著刊行会、1994年）
『幕末維新期の社会的政治史研究』（岩波書店、1999年）
『歴史のなかの新撰組』（岩波書店、2004年／岩波現代文庫、2017年）
『通史の方法』（名著刊行会、2010年）
『幕末維新変革史』（岩波書店、2012年／岩波現代文庫、2018年）
『歴史のなかの『夜明け前』――平田国学の幕末維新』（吉川弘文館、2015年）
『土方歳三と榎本武揚――幕臣たちの戊辰・箱館戦争(日本史リブレット人)』（山川出版社、2018年）
『幕末維新像の新展開――明治維新とは何であったか』（花伝社、2018年）
『天皇制と歴史学―― 史学史的分析から (“本の泉社”転換期から学ぶ歴史書シリーズ) 』（本の泉社、2019年）

共著

（坂野潤治共編）『日本近代史における転換期の研究』（山川出版社、1985年）
『徹底批判『国民の歴史』』（大月書店、2000年）
『新日本史Ｂ』（桐原書店、2004年）
『日本近現代史を読む』（新日本出版社、2010年）

主な論文

宮地氏は、多数の論文も発表しています。

「今日の反動化における靖国問題の位置」（『歴史評論』1981年2月号）
「廃藩置県の政治過程――維新政府の崩壊と藩閥権力の成立」『日本近代史における転換期の研究』（山川出版社、1985年）所収
「天皇制ファシズムとそのイデオローグたち（『季刊科学と思想』1990年4月号）
「歴史研究者からみた検定意見に対する方法論的批判」（『教科書裁判（第三次訴訟控訴審）の証言「意見書」』1992年）

関連項目

歴史学研究会
東京大学の人物一覧
東京都立日比谷高等学校の人物一覧
* 福岡県出身の人物一覧

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