禁獄

禁獄（きんごく）について

禁獄は、未決囚や受刑者を拘禁することを指し、これは刑罰の手段としても利用されてきました。その実施方法や目的は、時代ごとに変化しており、日本の刑法史において重要な位置を占めています。

律令制から明治初期まで

日本の律令法においては、五刑の中には獄に単に拘禁する刑罰はありませんでした。また、囚獄司という官職も存在していましたが、その主な役割は未決囚の拘留や、死刑・流罪の執行を行うためのものでした。平安時代においては、死刑が一時的に停止された結果、検非違使（令外官）によって代替的な刑罰として禁獄が施行されました。

鎌倉時代には、御成敗式目に基づき、悪口や暴力といった軽微な犯罪に対して禁獄が使用されることがあり、この時期には「召籠」という名称も付けられました。江戸時代では、永牢や過怠牢といった刑罰が登場し、更には明治初期に入ると、律令法の五刑が復活したものの、禁獄に関する具体的な規定は設けられていませんでした。しかし、犯罪者に対する刑罰として禁獄や懲役が導入され、明治6年（1873年）に死刑と懲役の二本立ての構造が確立されました。この際に、士族への特別な処罰として「自宅禁錮」が一時的に認められましたが、翌年には再び、獄中での禁錮に変更され、正式に「禁獄」という名称が用いられるようになりました。

旧刑法における禁獄

明治13年（1880年）に施行された旧刑法では、禁獄は閏刑としての地位を失い、労役を伴わない拘禁刑という形で、懲役よりも軽い刑罰として位置づけられました。禁獄は、刑期に応じて二種類に分かれ、「軽禁獄」と「重禁獄」が存在しました。具体的には、6年以上8年以下の軽禁獄と、9年以上11年以下の重禁獄がありました。また、禁獄は国事に関する重罪に適用されるもので、流刑と比較すると、禁獄は内地の獄に収容される点が特徴的でした。

加重及び減軽の規定

旧刑法では、重禁獄の処罰が必要になる場合は、有期流刑（12年以上15年以下）に科されることが定められ、逆に軽禁獄については、減軽される場合は軽禁錮（2年以上5年以下）に処されることになっていました。

禁獄に適用された犯罪

具体的には、内乱において兵器や資金を提供した者に対し、重禁獄または情状が軽い場合は軽禁獄に処せられることが規定されていました。これに関しては、旧刑法121条に詳しい記載があります。

禁獄の廃止

最終的に、禁獄は明治40年（1907年）に現行刑法が施行された際に廃止され、現在の禁錮刑にその役割を引き継ぐ形となりました。これにより、日本の刑罰制度は一層整備され、近代的な法体系へと移行していくことになります。

以上のように、禁獄は日本の法体系において長い歴史を持ち、その内容や形態は時代とともに変遷を遂げてきました。この刑罰の廃止は、法の近代化の一環であり、現代の刑罰制度に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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