囚獄司

囚獄司について

囚獄司（しゅうごくし）は、日本の古代律令制において、刑部省に属する重要な機関の一つです。主に左右両京に設置され、獄所の管理に特化した職責を担っていました。囚獄司は、拘禁者の監督や刑の執行を行い、左右衛門府（検非違使庁）の近くに位置していました。

職掌の詳細

囚獄司は、拘置所の運用だけでなく、そこに収監される人々に対する監督責任を有しました。この機関内には「物部丁」（もののべちょう）が配置され、彼らは獄舎の警備という任務を果たしていました。物部丁自体は、伴部から選ばれた者が指揮をとり、獄舎を守ったのです。一方で、他の京官については雑役を務める「直丁」が配属されました。

時が進むにつれ、平安時代に入ると、囚獄司の権限は検非違使に奪われ、次第にその存在は形式的なものになっていきました。結果として、囚獄司の長官職は、その名声ゆえに敬遠されることもありました。このことは『職原抄』に記録されており、囚獄司の意義が薄れていった様子を知ることができます。

獄舎の位置

囚獄司の運営において重要な場所は、左右に設置された獄舎です。左獄は近衛大路の南側に、西洞院大路の西側に位置し、別名「東獄」とも呼ばれました。対する右獄は、中御門大路の北側、西堀河小路の西側に存在し、「西獄」とも称されました。これらの位置関係は、当時の政治的および社会的状況と密接に関連しています。

晒し首の風習

また、囚獄司の周辺には「獄門」と称される門があり、そこには罪人の首が晒されることがありました。樗の木が門の前に立っており、平将門や源義朝などの首がその木にかけられることがあったのです。こうした厳しい処置は、当時の人々にとって恐怖の対象であり、公開の場で行われることが一般的でした。これに関する記録は多く、『中右記』にも義親の暴行に関する詳細が確認できます。

獄舎の衰退

やがて右獄（西獄）は衰退し、荒廃していったとされ、後にはその存在が記録されることも少なくなりました。歴史書『拾芥抄』の京程図にもその姿は見られません。囚獄司自体も、多くがその役割をその他の省庁に譲り渡すことになりました。

職員構成

囚獄司には特定の職員が配属されており、役職は以下のようになっていました：

• - 正官：1名（正六位上相当）
• - 佑：1名（従七位下相当）
• - 大令史：1名（大初位上相当）
• - 少令史：1名（大初位下相当）
• - 使部：優れた物部が40名
• - 物部丁：400名

このように、囚獄司は古代日本における法律執行と監獄制度の一端を担い、その発展と衰退を通じて、当時の社会の変化を示しています。

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