福原オレンジ

福原オレンジ：日本で生まれた晩生のオレンジ

誕生の経緯

福原オレンジは、1909年頃、千葉県南房総市で誕生しました。正確な年は不明ですが、福原周平氏の父親が、ユズにジョッパを高接ぎした際に、接ぎ木付近から発芽したものが原木とされています。ジョッパとの接ぎ木が何らかの変異を起こしたと考えられていますが、その詳細なメカニズムは解明されていません。別の説では、接ぎ木に失敗した後に偶然発芽したとされています。1930年代初頭に発見され、1935年には晩生柑橘の有望品種として紹介され、本格的な栽培が始まりました。その後、果樹試験場口之津支場で選抜が行われ、果実の大きさや糖度、種子の数などが改良されました。

特徴

福原オレンジは、ジョッパと類似した性質を持つ一方で、独自の特性も備えています。葉はオレンジの中では比較的大きく、縁が波打つのが特徴です。また、枝には小さな棘があります。果実は球形または扁球形で、重さは150～200グラム程度、種子は5～10個程度含まれます。果皮は熟すと濃いオレンジ色になり、果肉は黄みがかかったオレンジ色で柔らかく、室数は10～13室程度です。果汁は44.5％程度で、オレンジ特有の芳香があります。糖度は約14度、酸味はクエン酸約1.68％とされています。

栽培

福原オレンジの収穫期は3～5月です。収穫時期が遅れると、果皮の色がやや緑色に戻り、果汁が減少する傾向があります。寒さには弱く、冬の寒風で落果する可能性もあるため、防寒対策が重要です。ワシントン・ネーブルよりは耐寒性があると言われています。かいよう病にもかかりやすいので、風による傷を防止する対策が必要です。栽培には、日当たりがよく、土壌が肥沃で水はけが良い場所が適しています。ウンシュウミカンへの高接ぎを行うと、枝の生育が促進され、葉が大きくなるという特徴があります。1980年代には、日本の一部の地域で栽培されていました。

まとめ

福原オレンジは、偶然の産物から生まれた希少な日本のオレンジ品種です。晩生種であること、独特の風味、そして栽培上の注意点など、多くの魅力と課題を併せ持ちます。その歴史と特性を知ることで、この柑橘類への理解がより深まるでしょう。今後の研究や栽培技術の進歩により、福原オレンジがより広く認知され、愛されることを期待したいです。

参考文献

果樹園芸大事典編集委員会（佐藤 公一、森 英男、松井 修、北島 博、千葉 勉 編著） 『果樹園芸大事典（訂正追補 第4版）』 養賢堂 1980年1月10日発行
小林 章、苫名 孝 編 『果樹生産ハンドブック（訂正第2版）』 養賢堂 1977年10月10日発行
久保 利夫 『原色果実図鑑』 保育社 1962年1月15日発行
話題の柑橘　100品種　1977年8月25日発行(発行元：愛媛県青果農業協同組合連合会)

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