福地ダム

福地ダムの概要

福地ダムは沖縄県国頭郡東村に位置する、福地川本流に建設された二級河川のロックフィルダムです。高さ91.7メートルを誇るこのダムは、沖縄県で最大の規模を持つダムであり、その管理は内閣府沖縄総合事務局が行っています。ダムは1974年に完成し、以来沖縄本島の水供給において重要な役割を担ってきました。

歴史的背景

第二次世界大戦後、沖縄本島では急激な経済成長と人口増加に伴い、水の需要が高まり、慢性的な水不足が問題となりました。1972年に日本本土への返還が行われる頃には、さらなる水源の確保が求められ、新たに福地川がダム建設候補として選ばれました。1969年には工事が始まり、その後の大雨や台風による遅延を経て、1974年にダムが完成しました。

ダムの構造と機能

福地ダムは、堤体と洪水吐きによって構成されており、主に洪水調節、水道水および工業用水の供給、そして水力発電など、複数の目的を持った多目的ダムです。ダム湖は「福上湖」と呼ばれ、地域にとって重要な水源であり、観光資源としても注目されています。

ダム本体

ダムの基本構造はロックフィルダム式であり、主に砂岩や石灰岩を使用して建設されました。上流側と下流側にはそれぞれ異なる傾斜が設けられた巧みなデザインが施されています。取水口は4か所あり、それぞれが井戸型の縦坑に導かれ、最後に久志浄水場へと導水されています。

洪水吐き

福地ダムには、下流洪水吐きと上流洪水吐きがあり、洪水時の水は効率よく制御されます。上流洪水吐きは日本最大のサイフォン式で、洪水の発生時には直接海へ放流する役割を果たします。これにより、下流地域の洪水被害の軽減が図られています。

管理と運用

福地ダムは国土交通省が実質的な管理を行い、多目的ダム法に基づいて運用されています。沖縄振興特別措置法に則り、地域の治水と上水道の補給を両立するために、適正な管理が行われています。

利水と発電

沖縄本島の水道供給においては、福地ダムから毎日数万立方メートルの水が供給されており、特に都市部においてその重要性が増しています。また、ダム湖の水を利用した小規模な水力発電が行われており、エネルギーの有効活用が図られています。

現在の状況と出発点

ダム建設当初から現在に至るまで、地域住民との関係や環境問題も数多く存在しています。特に、ダム湖の利用や水源地の環境保全に向けた取り組みは、引き続き重要な課題として残されています。福地ダムはこれからも沖縄県の水資源の中心として、その機能や役割が求められるでしょう。

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