福山透

福山 透（ふくやま とおる）

福山透は1948年8月9日生まれの日本の有機化学者であり、現在は名古屋大学大学院創薬科学研究科の特任教授を務めています。また、東京大学名誉教授でもあります。彼は天然物全合成や有機反応開発という専門分野で広く知られ、特にアルカロイド類の合成において国際的に著名な研究者です。

学歴とキャリア

福山は1967年に愛知県立岡崎高等学校を卒業し、1971年に名古屋大学農学部を卒業しました。1977年にはハーヴァード大学で博士号を取得し、その後、同大学で博士研究員として活動しました。1978年から1982年にかけては、ライス大学化学科で助教授として教鞭を執りました。1982年には准教授に昇進し、1988年には教授に就任しました。

1995年からは東京大学薬学部で教授を務め、1997年には研究科が改組された後も教授職を続け、2012年には名古屋大学に移りました。2013年には名古屋大学大学院創薬科学研究科の特任教授となり、同時に東京大学名誉教授の称号も得ています。

研究業績

福山はライス大学在籍中から天然物全合成の研究を行っており、数多くの複雑な有機化合物の合成に成功しています。特に代表的なものとして、抗生物質の一種であるマイトマイシンやデュオカルマイシン、さらには抗がん剤ビンブラスチンの全合成などが挙げられます。彼の研究成果は、医薬品合成化学の分野に大きな影響を与え続けています。

福山が開発した合成手法には、2-ニトロベンゼンスルホニル基を用いたアミノ基の保護法や、福山インドール合成と呼ばれるインドールの合成法、さらに福山還元と称される穏和な条件でのアルデヒド生成法などがあり、いずれも広く利用されています。これらの手法は教科書にも掲載されており、実験室での有用性が高いと評価されています。

受賞歴

福山はその卓越した業績により、数多くの賞を受賞しています。1993年にはアーサー・C・コープスカラー賞およびAbbott Distinguished Investigator Awardを受け、2001年には有機合成化学協会賞を獲得しました。さらに、2003年にはISHC Senior Award in Heterocyclic Chemistryを、2004年にはアメリカ化学会の合成有機化学における創造的業績賞を受けました。その他、日本薬学会賞や中日文化賞、紫綬褒章、そして2021年には瑞宝中綬章も授与されています。

まとめ

福山透は、彼の豊かな経験と研究成果により、日本の有機化学の分野において重要な役割を果たしています。彼の合成手法や研究成果は、今後も科学の発展に寄与することが期待されています。

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