福岡県立八幡中央高等学校

福岡県立八幡中央高等学校は、福岡県北九州市八幡西区元城町に所在する公立高等学校です。その歴史は古く、大正5年（1916年）に設立認可された八幡町立実科高等女学校を源流としています。

歴史と変遷

学校は開校後、市制施行に伴い八幡市立実科高等女学校へ、さらに県立移管によって福岡県立八幡高等女学校へと名称を変更しました。その後、実科の廃止や学制改革を経て、昭和23年（1948年）には福岡県立八幡女子高等学校となります。翌昭和24年（1949年）、八幡市立八幡高等学校との統合を経て、現在の校名である福岡県立八幡中央高等学校に改称されるとともに、男女共学の体制に移行しました。昭和26年（1951年）には定時制課程（夜間）普通科が設置され、学びの機会を広げています。昭和30年（1955年）には現在の元城町キャンパスへ移転しました。

教育課程と特色

本校には全日制課程と定時制課程の普通科が置かれています。全日制普通科には、多様な進路に対応する一般コースに加え、独自の教育を展開する芸術コースが設置されています。芸術コースは、美術専攻と書道専攻に分かれ、伝統を重んじつつ新しい表現を探求する学びの場を提供しています。このコースは福岡県全域からの出願が可能なため、芸術分野での才能を伸ばしたい県内の中学生にとって魅力的な選択肢となっています。全国規模のコンクールでの受賞歴も多く、その実力は広く知られています。過去には難関とされる東京藝術大学へ3年連続で合格者を輩出した実績もあり、芸術教育に注力する学校としての側面を強く持っています。

学校の象徴

学校の精神を示す校訓は「自律・敬愛・創造」であり、昭和61年（1986年）に定められました。校章は、昭和24年（1949年）に生徒のアイデアをもとに当時の美術科教諭がデザインしたもので、知性を象徴するペン、八幡中央の「中」を表す帆の形の逆三角形、月桂樹の葉を組み合わせた背景に、旧字体の「高」の文字を配しています。校歌は昭和28年（1953年）に制定され、作詞は文学博士である倉野憲司氏、作曲はオペラ『夕鶴』で知られる團伊玖磨氏という著名な文化人が手掛けています。3番までありますが、歌詞の中に学校名は含まれていません。校歌の他に、生徒を鼓舞する応援歌も存在します。

学校生活

学校は3学期制を採用しており、年間を通じて様々な行事が開催されます。6月には創立記念日と文化祭が行われ、学びの成果や創造性を発表する場となります。9月には体育大会が開催され、生徒たちがスポーツを通じて交流を深めます。修学旅行は、一般コースが1月に、芸術コースが10月に実施され、普段の学習から離れた貴重な体験の機会となります。

放課後は多くの生徒が部活動に参加し、文武両道を目指しています。体育系ではウエイトリフティング、野球、バスケットボール、バレーボール、硬式庭球、陸上、サッカー、卓球、柔道、水泳、山岳など、文化系では美術、書道、吹奏楽、放送、図書映像、新聞、写真、茶華道、園芸、映画、物理、イラストなど、多岐にわたる部が活動しています。

卒業生は「錦綾会（きんりょうかい）」と呼ばれる同窓会組織を通じて繋がりを保っており、関東や関西にも支部が置かれています。

アクセスと周辺環境

最寄りの鉄道駅はJR鹿児島本線の八幡駅ですが、駅から学校までは距離があるため、多くの生徒が駅で路線バスに乗り換えて通学しています。西鉄バス北九州を利用する場合、「龍潜寺」または「花尾町」バス停から徒歩約3分、「祇園3丁目」バス停から徒歩約10分で学校に到着します。

学校の周辺には、九州国際大学や仰星学園高等学校、北九州市立花尾中学校・小学校などの教育機関が集まっています。また、桃園公園（北九州市立児童文化科学館を含む）や龍潜寺、平野川などがあり、比較的落ち着いた環境です。学校のすぐそばを北九州高速道路4号線が通っています。

本校は、地域社会に根差しながらも、特に芸術分野における特色ある教育で全国からも注目される、歴史と伝統を誇る学校です。

著名な出身者（一部）

本校からは、産業界、文学、芸術、スポーツなど、様々な分野で活躍する人材が輩出されています。

貫 正義（九州電力会長などを歴任）
佐木 隆三（小説家）
みずかみ かずよ（詩人、児童文学作家）
谷村 ひとし（漫画家）
萩岩 睦美（漫画家）
児玉 孝一（将棋棋士）
田中 千尋（バスケットボール選手）
吉永 一明（サッカー指導者）
入江 順和（ラグビー選手）
村上 龍寛（ラグビー選手）
花田 裕之（ミュージシャン）
上条 英男（芸能マネージャー）
太田 和臣（ウエイトリフティング選手、後に母校教諭）
森田 悟（スパローズ、お笑い芸人）
大和 一孝（スパローズ、お笑い芸人）
でんでん（俳優 ※定時制）

もう一度検索