福島市信夫ヶ丘球場

福島市信夫ヶ丘球場

福島市信夫ヶ丘球場（ふくしまししのぶがおかきゅうじょう）は、福島県福島市古川に位置する市営の野球場です。この球場は、かつて松川の河川改修が行われた際に生じた旧河道を利用して建設されました。1938年（昭和13年）に完成し、その後1989年（平成元年）に改築されています。

球場の地理的な特徴として、背後には松川が流れ、特に外野席の一部は河川敷の土手と一体化したような構造を持っています。しかし、この場所は水害が発生した場合に2メートル以上浸水する可能性があるとされており、通常、水害時の避難所として利用される他の運動施設とは異なり、避難所指定はされていません。

歴史的には、1986年（昭和61年）に福島県営あづま球場が完成するまでは、福島県内で有数の規模を誇る球場として、高校野球の重要な試合会場となり、「聖地」と呼ばれることもありました。

プロ野球公式戦も開催された実績があります。1948年から1954年にかけて、セ・パ両リーグおよび1リーグ時代の公式戦が合計16試合行われました。内訳は、1リーグ時代に2試合、セ・リーグで8試合、パ・リーグで6試合です。特に、1954年8月8日には読売ジャイアンツ対洋松ロビンスのダブルヘッダーが開催された記録が残っています。その他にも、変則ダブルヘッダーを含む複数の試合がこの球場で行われました。

近年では、ベースボール・チャレンジ・リーグ（BCリーグ）に加盟する福島レッドホープスが公式戦を開催しています。2015年から使用が始まり、2015年に3試合、2016年に1試合が開催されました。その後、しばらく開催が途絶えましたが、2020年には4年ぶりに2試合が行われています。

周辺地域の宅地化が進む中、球場運営に関する課題も生じています。2021年度（令和3年度）には、一塁側の防球ネットの改修が行われました。しかし、2022年（令和4年）秋には、硬式球が近隣の住宅に飛んで窓ガラスなどを破損させる事故が発生しました。この事態を受け、福島市は2023年度（令和5年度）から当面の間、中学生以上の硬式球の使用を制限する措置を取りました。

これに対する対応として、福島市は一塁側南西方向に追加の防球ネットを新設する計画を進めています。この工事は2024年度（令和6年度）に着工し、2025年（令和7年）4月からの硬式球使用再開を目指しています。

施設の仕様としては、両翼100メートル、中堅115.8メートルを有しています。照明設備は設置されておらず、スコアボードはパネル式です。収容人員は約15000人となっています。

球場の近隣には、福島市信夫ヶ丘競技場やラジオ福島などがあります。また、国道4号線や国道115号線といった主要道路も近くを通っています。

歴史と地域特性を持つ信夫ヶ丘球場は、近年の課題克服に向けた取り組みを進めながら、今後も野球の場として活用されていく見込みです。

もう一度検索