福永泰子

福永泰子（ふくなが やすこ）は、1918年（大正7年）3月16日に生まれ、2006年（平成18年）9月11日に88歳で亡くなった日本の華族です。嵯峨実勝侯爵の令嬢であり、母は9代浜口吉右衛門の長女・尚子です。また、長姉は愛新覚羅溥傑の夫人である浩であり、華麗な家系に生まれました。

泰子は、関西の実業家で宮家との縁もある福永健治と結婚しましたが、結婚生活はわずか1年8ヶ月で夫に先立たれるという悲劇に見舞われました。その後、1968年（昭和43年）5月には、泰子の勧めで、姪である愛新覚羅嫮生と亡夫の姉の次男である健治が結婚しました。この結婚は、泰子が中心となって進められました。

徳川義寛の勧めにより宮中に入り、1971年（昭和46年）から1989年（平成元年）にかけて宮内庁侍従職で女官を務めました。その後、2000年（平成12年）まで香淳皇后に仕え、83歳で退職するまで長きにわたり皇后を支え続けました。宮中では、その品格と誠実さから、周囲の信頼も厚かったと伝えられています。

2006年9月、泰子は88歳でその生涯を閉じました。葬儀は、神戸市須磨区にある健治が経営する高齢者福祉施設「パーマリィ・イン須磨」の自宅で執り行われ、喪主は姪の嫮生が務めました。

福永泰子は、華族としての出自を持ちながらも、その人生は決して平坦ではありませんでした。夫との死別、姪の結婚、そして長年の宮中での奉仕。それらの経験を通して、彼女は強く、そして優雅に生きた人物として記憶されています。彼女の人生は、日本の激動の時代を背景に、華族、皇室、そして実業家一族という複数の側面が交錯する複雑なものであり、その生涯は多くの人々に影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献
福永嫮生『流転の王妃 愛新覚羅溥傑・浩 愛の書簡』文藝春秋、2011年。ISBN 978-4-16-374250-2。
本岡典子『流転の子―最後の皇女・愛新覚羅嫮生』中央公論新社、2011年。ISBN 9784120042690。

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