福田平

福田平（ふくだたいら）について

福田平は1923年に東京で生まれ、2019年に逝去した著名な法学者であり、特に刑法学の分野でその名を知られています。彼は東京大学で法学博士号を取得し、その学位論文『違法性の錯誤』は彼の学問的探求の基礎を築きました。また、一橋大学の名誉教授として、多くの後進を育成しました。

学問的背景

福田の刑法学説は、師である団藤重光と同じく後期旧派に属しつつ、戦後のドイツの刑法学者ハンス・ヴェルツェルの理論を日本に紹介しました。彼は行為論において目的的行為論を支持し、行為の特性を主観的観点と客観的観点の複合的構造として捉えました。さらに、違法性に関する理論では、行為無価値論を基にし、故意の意識は違法性とは無関係であるとしつつ、違法性を認識しなかった場合に相当の理由があれば著側責任が問われないという厳格責任説を提唱しました。

この考え方は、後に結果無価値論に基づく平野龍一から批判されましたが、福田は行為無価値と社会倫理とは異なるものであると主張し、論争を繰り広げました。

人物の背景

福田の義父は国際法学者の山名寿三であり、東京大学では大塚仁と共に団藤から指導を受けました。大塚とは生涯にわたる友好関係を保ち、共に法学の発展に寄与しました。福田は神戸大学や東京教育大学教授を経て、1969年には一橋大学法学部の教授に就任します。彼のゼミナールからは多くの優れた法学者が育ち、政治・法律界に大きな影響を与えました。

学歴と経歴の歩み

福田は1930年、東京市番町尋常小学校に入学し、その後、中学校、高校を経て東京帝国大学法学部に進学し、1947年に卒業しました。彼はすぐに公務員試験にも合格し、1947年には東京帝国大学大学院で進修生として学びました。その後、神戸大学法学部助教授、教授を経て、1964年からは東京教育大学文学部教授、1969年から一橋大学法学部教授に就任。1987年には定年退官し名誉教授となります。さらに、東海大学法学部教授も務めました。

受賞歴と著作

2000年には勲二等瑞宝章を受賞しました。福田は多くの著書を残しており、その中には『違法性の錯誤』や『目的的行為論と犯罪理論』、『刑法解釈学の基本問題』などが含まれています。彼の著作は今日の刑法学においても重要な参考文献となっています。福田の論考は後世に多くの影響を与えるものであり、法学を学ぶ学生や研究者にとって欠かせない資料となるでしょう。

弟子たち

一橋大学での教鞭をとる中で、多くの優秀な弟子を育成しました。橋本正博や青木人志、王雲海など、彼の教えを受けた学者たちは、それぞれの分野で顕著な功績を残しています。このように福田平は、法学の発展だけでなく、その後の世代の育成にも大きな貢献を果たしました。

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