禿髪ジョク檀

禿髪傉檀（とくはつ じょくだん）は、五胡十六国時代の南涼の第3代君主です。兄である禿髪烏孤、禿髪利鹿孤の弟として生まれ、兄たちが王位にあった時代には、それぞれ重要な地位を歴任し、軍事面で大きな権力を掌握していました。

兄の烏孤が王位にあった際は、車騎大将軍・広武公に封じられ、その軍事力を背景に南涼を支えました。続く利鹿孤の時代には、都督中外諸軍事・涼州牧・録尚書事という要職を任され、南涼の軍事と政治の両面で中心的な役割を果たしました。実質的に、この頃から傉檀が南涼の軍権を掌握していたと言えるでしょう。

建和3年（402年）、兄である利鹿孤が病没すると、傉檀はその後を継いで涼王を自称し、弘昌と改元しました。都を楽都に遷都し、新たな体制を築こうとしましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。即位後数年間は、夏や北涼といった周辺国からの侵入に悩まされる日々が続きます。

周辺国からの侵入の原因は、南涼の国土が狭く、民が貧しいことにあったと考えた傉檀は、国力の充実を図るため、嘉平7年（414年）に西方の吐谷渾の乙弗部を攻めました。しかし、この動きを察知した西秦が軍勢を差し向け、楽都は陥落。傉檀は西秦に降伏し、ここに南涼は滅亡しました。

南涼を滅ぼした西秦の王、乞伏熾磐は、翌年、傉檀を毒殺しました。短いながらも激動の時代を生きた傉檀の生涯は、ここに幕を閉じました。

傉檀には、折掘王后との間に多くの子がいました。息子には、禿髪虎台、禿髪明徳帰、禿髪安周、禿髪染干、禿髪破羌（後の源賀）、禿髪保周らがおり、娘は西秦王后、西秦左王后となっています。

禿髪傉檀の治世は、周辺国の侵攻に苦しみながらも、国力の向上を目指した時期であり、五胡十六国時代の激しい勢力争いの中で、南涼という国が滅亡へと向かう過程を示すものでした。彼の人生は、当時の政治情勢や民族間の関係を理解する上で重要な意味を持っています。

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