西秦

西秦（せいしん）

西秦（385年 - 431年）は、五胡十六国時代に鮮卑（せんぴ）族の乞伏（きつぶく）部によって建てられた国です。

歴史

建国期

西秦の始祖である乞伏部は、元々河西・隴西地方に居住していました。前秦の苻堅による華北統一の波が及ぶと、371年に前秦に降伏し、乞伏司繁は苻堅から南単于に任命されました。

383年の淝水の戦いで前秦軍が敗北すると、乞伏国仁は隴西に留まり、勢力を拡大。385年、苻堅が後秦の姚萇に殺害されると、乞伏国仁は大単于を自称し、建義と改元して独立しました。

勢力拡大

西秦は、周囲を前秦、後秦、後涼などの強国に囲まれていたため、外交に重点を置きました。乞伏乾帰の時代には、周辺部族を服属させ、吐谷渾から朝貢を受けるなど勢力を拡大しましたが、後涼との対立も生じました。

394年、乞伏乾帰は秦王を自称しましたが、後涼の圧力を受け、395年に西城に遷都。一時的に後涼に従属しましたが、後涼の衰退に乗じて再び自立しました。

一回目の滅亡

400年、乞伏乾帰は後秦に敗れ、南涼に逃亡。その後、後秦に帰順し、後秦の家臣となりました。これにより、西秦は一時的に滅亡しました。

再興

402年、後秦が北魏に大敗すると、乞伏乾帰は409年に再び秦王を称して西秦を再興しました。後秦の衰退に乗じて勢力を拡大し、南涼や吐谷渾を攻めました。

412年、乞伏乾帰は息子によって殺害されましたが、長男の乞伏熾磐が後を継ぎました。

再びの勢力拡大

乞伏熾磐は、414年に南涼を滅ぼし、秦王を自称。吐谷渾を攻めて益州西部を併合し、後秦領を切り取るなど勢力を拡大しました。また、北涼と西涼の抗争を利用して河西方面へ進出しました。

衰退・滅亡期

421年、北涼が西涼を滅ぼすと、西秦は北涼との対立を深めました。さらに、夏が関中に進出して西秦と敵対し、吐谷渾まで攻めてきたため、西秦は守勢に回りました。

乞伏熾磐は北魏と連携して打開を図りましたが、国内で反乱が相次ぎ、衰退を免れませんでした。428年に乞伏熾磐が死去すると、息子の乞伏暮末が即位しましたが、北涼の圧力を受け、430年に夏に降伏。431年、乞伏暮末は夏によって殺害され、西秦は完全に滅亡しました。

国家体制

西秦の官制は、三省六卿や四征将軍を中心とする漢魏以来の形態を取りました。高官には皇族の乞伏氏が中心でしたが、漢族や丁零からの就任も少なくありませんでした。

西秦は周囲を強国に囲まれていたため、外交を重視し、周辺諸国から掣肘を受け続けました。首都を短期間で各地に遷したのも外交政策の一環でした。

西秦の君主

烈祖宣烈王（乞伏国仁、385年 - 388年）
高祖武元王（乞伏乾帰、388年 - 400年、409年 - 412年）
太祖文昭王（乞伏熾磐、412年 - 428年）
後主（乞伏暮末、428年 - 431年）

元号

建義（385年-388年）
太初（388年-400年）
更始（409年-412年）
永康（412年-419年）
建弘（420年-428年）
永弘（428年-431年）

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