私立延平高級中学

私立延平高級中学：台湾を代表する名門私立校

私立延平高級中学（Taipei Private Yan Ping High School）は、台湾の台北市に位置する名門私立高校です。国中部を併設する完全中高一貫校であり、長年にわたり台湾大学や世界ランキング上位の大学への合格者数でトップクラスの実績を誇っています。その歴史は、戦後の混乱期に台湾の教育界に光明を灯そうとした人々によって築かれました。

創立と黎明期

1945年、第二次世界大戦終結後、台湾が中華民国に接収された時代に、朱昭陽と宋進英という二人の志ある人物が、炭鉱業界の有力者たちと共に延平大学設立の計画を立ち上げました。林献堂を理事長に迎え、校名を「延平郡王」鄭成功にちなんで「延平大学」と命名しました。当初は大学としての認可が得られず、「延平学院」として経済・法律学科と夜間部からスタートを切りました。開校式典では、朱昭陽が「暗夜の荒野の蛍光」であると訓示し、台湾人による初の高等教育機関の誕生を宣言しました。

二・二八事件の試練

しかし、創立間もない延平学院は、二・二八事件という大きな試練に見舞われます。事件勃発後、学生たちは国立台湾大学や国立台湾師範大学の学生と連携し事態に対応しようとしましたが、軍隊が校内に進駐し、学校は閉鎖されてしまいました。この事件は学校の歴史に暗い影を落としましたが、関係者たちは学校再開のために尽力しました。

再建と発展

二・二八事件後の混乱期を経て、林献堂をはじめとする学校関係者の尽力により、1948年に「延平高級補習学校」として再建されました。当初は西門国小の校舎を借りての授業でしたが、李登輝元総統も教鞭を執るなど、各界の名士を教授陣に迎えました。その後、生徒数は着実に増加し、1953年には現在の建国南路に新校舎が建設されました。1959年の学制改革により中学校に改編され、現在に至っています。

「水上黄宮」から私校のトップへ

1953年の移転当初、周囲が水田に囲まれた校舎は「水上黄宮」と呼ばれました。初期の生徒募集は苦戦したものの、徐々に生徒数を増やし、1979年に中高一貫教育クラスを編成したことで、国立大学への進学者数が飛躍的に増加しました。現在では、公立大学への進学者比率が全国トップクラスであり、私立高校の中でトップの地位を確立しています。1989年には新校舎が完成し、現在の姿となりました。

学校組織と校訓

学校組織は、家長会、教師会、学生自治会、班聯会、校友総会などで構成されています。歴代の校長、理事長には、創立者の朱昭陽、宋進英をはじめ、呉三連、李登輝など、台湾の歴史に名を残す人々が名を連ねています。現在の校長は張漢鏞です。

校徽は、「吉利六線」「緑色大地」「稲穂金蛍」「光芒万丈」という四つの要素で構成されています。それぞれに学校の教育理念が込められており、生徒たちの成長を願う学校の想いが表れています。

校歌は、作詞を粟耘、作曲を魏士文が手がけ、延平郡王鄭成功の精神を讃え、学校の理念を歌い上げています。

情報発信と課外活動

広報誌として、中国語版の『延平人』と『延平青年』、英語版の『The Firefly』が刊行されています。課外活動は、活動場所の制限から半期参加制度が採用されており、外国語センターは、語学選修課程と合わせて課外活動を実施しています。

著名な卒業生

延平高級中学は、各界で活躍する著名な卒業生を多数輩出しています。政治界からは潘維剛、鄭運鵬、周守訓、文学界からは呉念真、芸能界からは林昶佐（Freddy）、教育界からは洪致文などがいます。その他、鉄道、山岳写真家の古庭維など、多岐にわたる分野で卒業生が活躍しています。

外部リンク

学校の公式サイトは以下です。
延平高中（繁体字中国語、英語）

延平高級中学は、台湾の教育界を牽引する私立名門校として、今後も多くの人材を育成し、社会に貢献していくことでしょう。

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