古庭維

古庭維（クー・ティンウェイ）氏は、1983年1月14日に台湾台北市で生まれました。彼は、鉄道写真家、鉄道作家、そして登山家という多岐にわたる顔を持っています。現在、中華民国鉄道文化協会のメンバーとして、鉄道雑誌「鐵道情報」の総編集長を務める傍ら、高雄市の旧打狗駅故事館館長としても活躍しています。また、「春臨台湾文化事業坊」の経営者でもあり、鉄道分野においては撮影技術に加え、廃線探索にも深い造詣を持っています。

学歴と鉄道との出会い

古氏は台北市立呉興国小、信義国中、私立延平高級中学を経て、国立台湾大学に進学し、農業化学系農産製造組と生化科技学系を卒業しました。その後、同大学生命科学院の微生物・生化学研究所で修士号を取得しています。大学在学中は鉄道研究サークル「台大火車社」の第26代サークル長を務め、鉄道文化の広報と啓蒙活動に積極的に取り組みました。

鉄道への情熱と活動

2005年には台北県芸文中心（現新北市芸文中心）の蒸気機関車展示メンテナンス顧問を務め、2006年からは「鐵道情報」のライターとして活動を開始しました。2011年からは同協会の副会長（2015年まで）と総編集長を兼任しています。2016年には「春臨台湾文化事業坊」を設立し、鉄道カレンダーの製作と販売を開始。同年末には、旧打狗駅故事館館長に就任しました。低報酬にも関わらず、鉄道に触れ合える機会を重視し、自ら志願したと言います。2018年からは、「鐵道情報」の発行を自社の文化坊で引き継いでいます。

人物像と趣味

幼少期から鉄道に親しみ、4歳時には家族旅行で日本の上越新幹線に乗車した経験が、鉄道への関心を深めるきっかけとなりました。高校卒業時には、長野新幹線や寝台特急北斗星、青函トンネルを体験する日本旅行を家族に要求し、大学在学中はジャパンレールパスを利用して本土最北端の稚内駅、最東端の東根室駅、最西端の佐世保駅、最南端の西大山駅を制覇しました。

同じく中華民国鉄道文化協会のメンバーである洪致文氏は、古氏の中学、高校、大学の先輩にあたり、洪氏が創設した台大火車社でもその地位を受け継いでいます。大学卒業後、家族からは高収入の職種への就業を期待されましたが、研究室にこもるよりも趣味を優先し、執筆や講演で生計を立てています。また、「鐵道情報」への寄稿も洪氏の誘いによるものです。

鉄道研究、風景写真、廃線跡の現地調査をライフワークとしており、登山にも熱心です。過去には台湾各地の高山森林鉄道探索時の記事を執筆しています。プライベートや雑誌のライターとして海外渡航も多く、特に日本への訪問回数が多いです。北海道運輸局の外国人旅行者モニターを務め、日本のインバウンド対策にも貢献しています。

鉄道文化資産への思い入れは強く、2017年には、旧高雄臨港線のレールが高雄ライトレールのスロープによって覆い隠された際、バリアフリーと文化資産保存の両立を訴え、高雄市政府捷運工程局の職員と議論を交わしました。また、国鉄583系電車がJR東日本から寄贈された際には、輸送業者入札の選考委員を務めています。

著作活動

古氏は、鉄道に関する専門書や共著を多数出版しています。主な著作には、『新編台灣鐵道史全文譯本』（2021年）、『台鐵舊鐵道散步地圖』（2010年）、『典藏版鐵道新旅山海線：32+2站深度遊』（2012年）、『典藏版鐵道新旅縱貫線北段：32站深度遊』（2013年）、『發現台灣！5大精華鐵道路線暢遊套書』（2015年）、『百年輪轉・臺灣鐵道』（2015年）、『哈瑪星台灣鐵道館 台灣百年鐵道縮影』（2016年）、『台灣小百岳．走遍全台100登山輕旅行』（2017年）などがあります。

また、「ディスカバー台北」のフリーペーパーに「鉄道の達人が教える台北鉄道の歴史の旅」を寄稿したり、台湾観光協会の雑誌で表紙写真を担当したりするなど、幅広い分野で活躍しています。さらに、学術論文や雑誌への寄稿も多数行っています。

古庭維氏は、その多岐にわたる活動を通じて、台湾の鉄道文化の発展に大きく貢献している人物です。

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