秋…冬への前奏曲

秋…冬への前奏曲

『秋…冬への前奏曲』は、宝塚歌劇団によって制作されたミュージカルであり、同劇団の演出家、谷正純の本公演デビュー作として知られています。この作品は、1990年9月21日から10月30日まで、宝塚大劇場で初上演されました。新人公演は10月12日に行われ、花組はダンサーたちの物語を中心に描きました。

この作品は、第二次世界大戦後のチェコスロバキアに焦点を当て、民族問題とそれに関わる人々の苦悩をダンスを通じて表現しています。物語の中心には、チェコのダンサー・ヤナーチェク（大浦みずき）とスロバキアのダンサー・ナディア（ひびき美都）が位置し、彼らを支えるコマロフスキー伯爵（朝香じゅん）が重要な役割を果たします。この作品の副題には「悲しみのパ・ド・ドゥー」という表現があり、深い感情が込められた内容となっています。

1993年には、星組による全国ツアーが行われました。この時の再演では、ヤナーチェクやナディアは登場せず、物語の構成が大幅に変化しました。新たに登場したのは、ダンサーたちの支援者であるコマロフスキー伯爵（麻路さき）と、彼のユダヤ人秘書であるレナーテ（白城あやか）です。この新しい構成により、観客は同じテーマを扱いながらも異なる視点から物語を楽しむことができました。

星組の全国ツアーは、仙台、相模大野、市川、静岡、広島、鹿児島、福岡市民会館を巡る形で行われ、それぞれの場所で観客の心を掴みました。特にダンスや音楽のパフォーマンスは多くの観客に評価され、その演技力も大きな話題となりました。

初演の際のスタッフ陣も豪華で、作・演出は谷正純、作曲・編曲には吉崎憲治、振付には羽山紀代美と尚すみれ、照明には今井直次が関わっていました。それぞれのスタッフが一丸となって製作したこの作品は、今なお多くの観客に記憶される名作です。

このように、『秋…冬への前奏曲』は宝塚歌劇団の歴史の中でも特に重要な位置を占める作品となっており、その深いテーマ性やダンス、音楽、演出など、多様な要素が融合した壮大な物語は、観客に強い感動を与え続けています。

もう一度検索