秋亜綺羅

秋 亜綺羅（あき あきら）

1951年1月23日、宮城県仙台市に生まれた秋 亜綺羅は、日本の現代詩壇において独自の存在感を放つ詩人、随筆家である。その文学的な旅は、高校時代に投じた一篇の詩が、演劇や文学の世界で異才を放っていた寺山修司の目に留まったことから始まる。この鮮烈な出会いは、若き秋亜綺羅の詩人としての道筋を決定づける重要な契機となった。

宮城県仙台第三高等学校を卒業後、早稲田大学に進学するも中退。在学中の1971年には、初の詩集『海！ひっくり返れ！おきあがりこぼし！』を刊行し、その瑞々しい感性と反骨精神が混ざり合った詩世界を示した。その後も、表現の可能性を追求する姿勢は変わらず、1977年には高取英らと共に、詩の理論と方法論を探求する実験誌「0ff0fft0ky0!」を創刊。既成の枠にとらわれない挑戦的な試みを続けた。

20代後半には故郷である仙台に戻り、詩作活動と並行して、地域に根ざした文化活動にも力を注ぐようになる。詩、演劇、音楽など、ジャンルを横断する多様なイベントを企画・実施。文化交流の促進に貢献した。1980年には、斉藤文春らと批評総合誌「SENDAI IN」を立ち上げ、故郷の地から批評言論を発信する場を創出した。これらの活動は、単なる一詩人の枠を超え、文化発信者としての秋亜綺羅の側面を示している。

長年にわたる詩作活動は高い評価を受け、詩集『透明海岸から鳥の島まで』で第22回丸山豊記念現代詩賞を受賞した。これは、秋亜綺羅の詩業が日本の現代詩壇において確固たる地位を確立したことを示す出来事であった。また、高校時代に執筆した詩「百行書きたい」は、寺山修司の著書『書を捨てよ、町へ出よう』（角川文庫版）に収められており、師との縁が深いことを物語っている。さらに、2018年に刊行された四方田犬彦と福間健二による編著『1968 [2] 文学』（筑摩書房）のアンソロジーには、吉増剛造や三島由紀夫といった大家の作品と並んで、19歳の時に書かれた秋亜綺羅の詩が選ばれるなど、その初期から注目されていたことが窺える。

2009年からは、自身の編集による個人誌「季刊ココア共和国」を刊行開始。表現の自由な交流の場を提供し続けた。2020年からは佐々木貴子と共に「月刊ココア共和国」としてリニューアルし、電子書籍と紙媒体で「あきは詩書工房」より発行している。この活動は、現代の詩のあり方を探求する継続的な試みと言えるだろう。

また、詩壇における要職も歴任。2018年から2022年まで権威ある歴程賞の選考委員を務めたほか、2021年にはH氏賞の選考委員長を務めるなど、次世代の詩人の育成・評価にも深く関わった。日本現代詩人会の元理事長としても、組織運営に貢献している。これらの功績が認められ、2022年度には宮城県芸術選奨を受賞。日本文藝家協会会員でもある。その活動は詩作にとどまらず、広範な文化領域に及んでいる。

主な著書

• - 『海！ひっくり返れ！おきあがりこぼし！』戦前派出版 1971年
• - 『透明海岸から鳥の島まで』思潮社 2012年
• - 『ひよこの空想力飛行ゲーム』思潮社 2014年
• - 『ひらめきと、ときめきと。 詩の絵本』あきは書館 2015年
• - 『言葉で世界を裏返せ!』土曜美術社出版販売 2017年
• - 『十二歳の少年は十七歳になった』思潮社 2021年

秋亜綺羅の詩業と活動は、日本の現代詩の流れにおいて、常に新鮮な視点と情熱をもって展開されている。

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