秋保石

秋保石（あきういし）

概要

秋保石は、学名「含有孔虫浮石質角礫凝灰岩」として知られ、宮城県仙台市太白区の秋保地区、特に湯元地区で採取されている凝灰岩です。この石材は長年にわたり建築資材として重宝されてきました。かつては磊々峡の川底から掘り出されていたことから「川瓢（かわふくべ）」とも称されます。大正3年に秋保と長町を結ぶ鉄道が開通した後、秋保石は仙台周辺に大量に流通し、大正末期から昭和初期にかけて特に多く使用されました。当時、約20軒の採掘業者が存在していましたが、昭和中期以降は使用が減少し、現在では採掘を行う業者は2社に限られています。石の採掘の痕跡は今でも秋保の山肌に見ることができます。

特徴

秋保石はその耐久性、耐火性、防水性に優れており、軽量で取り扱いやすい特性があります。これらの特長により、建材や土木資材として広く利用されています。比較対象として大谷石がありますが、秋保石はより黄色がかった色合いを持ち、表面にはさまざまな小さな石が混じり合って独特の模様を形成しています。加工方法によって、その表情や見た目が大きく変わることも魅力の一つです。

使用例

秋保石は、1910年代から1970年代にかけて仙台近郊の外壁、塀、階段などに使用されてきました。特に著名な建物として、1932年に建設された東北学院大学土樋キャンパスのラーハウザー記念礼拝堂や、1925年の東北学院大学本館（旧専門部校舎）の外壁があります。近年では、2001年に完成した秋保・里センターの外壁にも使用されています。さらに、公共建築においても多く見かけられ、内装の仕上げや外構など幅広い用途で用いられています。また、秋保町の青木や松島町の防波堤といった公共土木工事でも利用されています。

他の石材、特に近年の公共建築に使用されることが多い花崗岩と比べると、秋保石は吸水性が高く、硬度が低いため、凍害のリスクには注意が必要です。

磊々峡

磊々峡は、名取川が秋保石の大地を侵食して作り上げた流域で、約650メートルの長さを持つ奇岩が連なる地区です。遊歩道が整備されており、観光地として訪れる人々に親しまれています。

秋保電気鉄道

秋保石の採掘と運搬を目的として開通した馬車軌道は、大正3年（1914年）に設立されました。その後、秋保石材軌道と改称され、昭和19年（1944年）に秋保電気鉄道に改名されました。1961年に廃止されるまで、この路線は秋保の石材や、温泉を訪れる湯治客の輸送に貢献しました。

脚注

秋保石はその歴史や特徴から、石材や岩石の堆積岩、火山砕屑岩、凝灰岩に分類される重要な資源です。

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