秋月城

秋月城の歴史と構造

秋月城（あきづきじょう）は、福岡県朝倉市野鳥に位置する、江戸時代の日本の城（平山城・陣屋）です。秋月陣屋とも呼ばれ、その歴史は鎌倉時代にまで遡ります。1203年（建仁3年）に秋月種雄が古処山に築いたとされる古処山城がその起源とされ、その後、戦国時代には秋月氏の居城として重要な役割を果たしました。

1624年（寛永元年）、福岡藩主黒田長政の三男である黒田長興によって、秋月氏の宅所「杉本城」跡を利用して新たに築城されました。この際、古処山城の廃材も利用されたと伝えられています。秋月城は福岡藩の支藩である秋月藩の藩庁として、黒田氏が居城しました。城は一筋の堀と石垣で守られ、二重櫓や平櫓が5基建て並べられていました。

秋月城の変遷

秋月城は、その歴史の中で所有者が変わっています。鎌倉時代に秋月氏が築いた古処山城は、戦国時代に秋月氏の最盛期を迎えましたが、1587年（天正15年）には豊臣秀吉の九州征伐によって秋月氏は日向国高鍋に移封され、古処山城と秋月氏の宅所は廃城となりました。その後、1624年に黒田長興がこの地に入り、秋月城を築城し、以後黒田氏が12代にわたりこの地を治めました。

明治時代に入ると、1873年（明治6年）の廃城令により秋月城は廃城となり、その多くが撤去されました。しかし、城の一部は現在も残り、その歴史を今に伝えています。

現在の秋月城跡

現在、秋月城跡には黒田長興を祀る垂裕神社が建てられています。堀、石垣、裏門であった長屋門、旧本門（大手門）である黒門が現存し、垂裕神社の神門として移築されています。特に黒門は、古処山城の搦手門を移築したものという伝承がありますが、江戸時代前期の建築と考えられています。また、城跡の一部は朝倉市立秋月中学校の敷地となっており、生徒たちが通う現役の木造校舎は、城下町秋月のシンボルとなっています。

文化財としての指定

秋月城跡は、1980年（昭和55年）に福岡県の史跡に指定されました。また、本門（黒門）と長屋門は、1961年（昭和36年）に福岡県の有形文化財に指定されており、歴史的価値の高い建造物として保護されています。

アクセス

秋月城跡へのアクセスは、甘木鉄道甘木線・西鉄甘木線甘木駅から甘木観光バス秋月線に乗り、「博物館前」下車徒歩6分です。また、マイカーの場合は、大分自動車道甘木インターチェンジから約10㎞です。周辺には有料駐車場も整備されています。

まとめ

秋月城は、その歴史と構造、そして現在も残る遺構を通して、江戸時代の日本の城郭文化を今に伝える貴重な存在です。秋月を訪れる際には、ぜひこの歴史的な場所を訪れ、その魅力を感じてみてください。城跡に残る石垣や門、そして現在の学校校舎を通して、過去と現在のつながりを体感できるでしょう。

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