黒田長興

黒田長興（くろだ ながおき）

黒田長興は、江戸時代前期の大名であり、筑前国秋月藩の初代藩主として知られています。

生涯

福岡城内にて、黒田長政と栄姫の次男として誕生しました。元和9年（1623年）に父・長政が亡くなると、その遺言により5万石を分与され、秋月藩を立藩することになります。寛永元年（1624年）7月には秋月に入り、梅園にあった黒田直之の屋敷を増改築して居城としました。

寛永2年（1625年）には、3代将軍・徳川家光に謁見するため江戸へ向かおうとしましたが、兄である黒田忠之との確執から、福岡藩の家老たちに妨害されるという困難に直面します。母・栄姫や小倉藩主・細川忠興の助けを得て、ようやく謁見を果たすことができました。この背景には、父・長政が優秀な長興を本藩の後継者として考えていたものの、兄の忠之がその存在を恐れたためだという説があります。

秋月藩内では、家老間の対立や家老・堀定則の出奔など、混乱が続きました。寛永14年（1637年）の島原の乱には出陣し、戦功を挙げ、長崎の警備も担当しました。領内では、筑後川支流域での新田開発や藩内の交通整備を行い、藩政の確立に尽力しました。また、母である栄姫（大涼院）を深く慕い、領地である秋月に菩提を弔うため、秋月山浄仙院大涼寺を建立し、開基しました。

寛文5年（1665年）3月20日、江戸の藩邸にて56歳で亡くなりました。跡は次男の長重が継ぎました。法号は東陽院五峰宗印。安政6年（1859年）には、垂裕明神の神号が贈られ、垂裕神社に祀られることとなりました。

逸話

父・長政は、嫡男である忠之の暗愚さを憂慮し、一時的に長興を後継者として考えていたと伝えられています。しかし、重臣である栗山利章の反対により、実現には至りませんでした。このことが原因で、忠之と長興は不仲であり、常に対立していたとされています。しかし、忠之の跡を継いだ光之の代には、本家と和解しています。

また、「黒田長興一世之記」には、島原の乱の直接的な原因となった松倉勝家の暴虐な振る舞いが記録されています。

系譜

父：黒田長政
母：栄姫（徳川家康養女、保科正直の娘）

正室：天教院（佐竹義宣の養女、岩城貞隆の娘）
継室：亀子、法流院（佐竹義隆の娘）

子女
黒田長重（次男）：生母は法流院
黒田犬万：夭折
彦子、清光院：藤堂高通正室
さん：小笠原長祐正室
小笠原真方正室
勝子：三奈木黒田一貫正室、黒田長貞の祖母

参考文献

ふるさと人物誌17　秋月藩初代藩主　「黒田　長興」（くろだ　ながおき） - 福岡県朝倉市

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