金森博雄

金森博雄（かなもり ひろお）

金森博雄は、日本の地震学者であり、地球科学に関する研究で国際的に著名な人物です。1936年10月17日に東京で生まれた彼は、東京大学で学び、理学博士の学位を取得しました。その後、カリフォルニア工科大学での研究員としての活動を経て、東京大学地震研究所の助教授や教授を務め、さらにはカリフォルニア工科大学の教授にもなりました。彼の家族には、父が第1次吉田内閣の憲法担当国務大臣を務めた金森徳次郎や、経済評論家の兄の金森久雄がいます。

経歴

金森は、1955年に東京教育大学附属中学校・高等学校を卒業し、1959年に東京大学理学部を卒業。その後、1962年には東京大学理学部の助手となり、1964年に「日本の地殻とマントル上層部の構造」に関する研究で博士号を取得しました。カリフォルニア工科大学での研究員としての経験を経て、1966年には東京大学地震研究所の助教授に就任し、1970年には教授となりました。しかし、1972年には地震研究所での紛争を受けてカリフォルニア工科大学に移り、また地震学研究室の教授に就任します。2005年には名誉教授としての称号を受け、彼の研究業績は現在も多くの学問分野で評価されています。

研究領域

金森の研究は、地震発生の物理学や、地震を引き起こすテクトニクスの解明に専念しています。特に、1960年代以前に環太平洋地域で発生したいくつかの巨大地震について、その地震波を解析し、プレートの沈み込みによって引き起こされることを明らかにしました。加えて、地震のサイズに関連するさまざまなパラメータをまとめ、その結果をもとに1977年にはモーメント・マグニチュードの手法を発表しました。

彼はまた、津波に関する研究を行い、特に津波の規模が大きな地震を1972年に「津波地震」と定義しました。1980年代には、安芸敬一のバリアモデルに対し、アスペリティモデルを提唱し、地震波解析から震源過程を推定する手法の発展にも寄与しました。さらに、断層運動による摩擦や融解に関する研究を行い、リアルタイム地震学への関心を持ち防災や減災に努めています。

受賞歴

金森には数多くの賞が授与されており、1992年にはアメリカ地震学会からハリー・フィールディング・リード・メダル、1994年には朝日賞、2004年には日本学士院賞、2007年には京都賞囲基礎科学部門を受賞しました。また、2014年には科学ジャーナリスト賞を『巨大地震の科学と防災』という研究で受けています。これらの受賞は、彼の卓越した研究成果と貢献を証明するものです。

主要論文

金森の業績は多くの論文にも表れています。1964年には「重力異常から見た日本の地殻構造」についての研究を発表し、1970年にはアポロ11号に関する報告書で「月と地震」を論じました。また、1977年には「The energy release in great earthquakes」がジャーナルに掲載されています。これらの研究は彼の専門分野における重要な知見を提供し、地震学の理解を深めています。

金森博雄の業績や研究は地震学の発展に大きく寄与しており、彼の活動は今後も影響を及ぼし続けるでしょう。

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