科学論

科学論（サイエンス・スタディーズ）

科学論とは、科学哲学、科学史、科学社会学の要素を結集した学問分野で、英語では「Science studies」とも呼ばれます。この学問は、19世紀中葉にさかのぼることができる科学哲学や科学史の発展を基礎に、1920年代から1930年代にかけてその基本的枠組みが形成されました。科学論は、単に科学を研究するのではなく、科学者が追求すべき理想像や社会的責任にも焦点を当てています。

科学論の基盤

科学論の重要な側面には、論理実証主義、インターナル・アプローチ、そしてマートン・ノルムが含まれます。これらは、科学が真理探究の手段であり、客観的知識を提供すると考える点で共通しています。また、これらのアプローチは科学の記述を超えて、科学のあり方や科学者の責任にまで視野を広げます。20世紀後半には、科学の産業化が進む中で、科学と科学者に求められる社会的な責任や民主主義的なコントロールの重要性が高まり、規範的な理解が強調されるようになりました。

科学知識の社会学（SSK）

1960年代から1970年代にかけて、トーマス・クーンによるパラダイムという概念が新たな議論を呼び込みました。それと並行して、科学社会学内部でも新しい動向が現れ、科学の理論や概念の内容自体を分析する動きが強まりました。このようなアプローチは、ロバート・キング・マートンとその先行研究との違いを際立たせるために、「科学知識の社会学（Sociology of Scientific Knowledge：SSK）」としてまとめられました。

1980年代に入ると、科学の理解がさらに広がり、科学史・科学哲学・科学社会学に加えて文化人類学や歴史学などさまざまな学問分野が統合され、総合的な領域として「科学論（science studies）」という名称が定着しました。SSKはこの期間において、科学論を代表する重要な分野として認識されています。

まとめ

科学論は、科学に関する深い理解を促進するための枠組みを提供し、それによって科学者や社会が直面する課題や倫理的な問題を探求する場と言えます。科学は単なる知識の集積ではなく、社会における重要な役割を果たしているため、科学論を通じてその理解を深めることは、現在の科学の発展にとって不可欠な要素です。実際、科学論は今後の科学と社会との関係を考える上で、重要な視点を提供することでしょう。

もう一度検索