秩父太平洋セメント

秩父太平洋セメント株式会社

秩父太平洋セメント株式会社は、埼玉県秩父市に所在するセメント製造企業であり、太平洋セメント株式会社の傘下に位置しています。この会社は、太平洋セメント秩父工場（旧・秩父セメント秩父第二工場）の規模を縮小した結果として設立されました。

企業概要

本社及び秩父工場は埼玉県秩父市大字大野原に位置し、セメント製造に関連する複数の事業所を設けています。三輪鉱業所も秩父市内にあり、さらに群馬県神流町に叶山鉱業所があります。これらの施設は、秩父地域におけるセメント生産の基盤を支えています。

沿革

秩父太平洋セメントは、2000年6月29日に設立されました。2000年12月11日には、太平洋セメント株式会社から秩父工場と鉱山を継承し、営業を開始しました。本社と主要な工場は同じ場所にありますが、企業の成り立ちには深い歴史が存在します。

1923年、武甲山の麓に「秩父セメント」が誕生しました。創業者には渋沢栄一や諸井恒平が名を連ねており、当初の工場は市街地に近い位置にありました。しかし、朝鮮戦争の特需を受けて生産力を増強するため、工場の新設が計画されることとなります。これに伴い、秩父セメント第2工場が設立されました。

この工場は、当時東京工業大学の教授であった谷口吉郎による基本設計が行われ、彼は過去の経験を活かして安全性と美しさを兼ね備えた工場設計に挑みました。1956年には実施設計を日建設計工務が担当し、工場が竣工しました。これにより秩父セメントは新たな生産拠点を確保したのです。

1990年代に進んだ業界再編の中で、秩父セメントは小野田セメントや日本セメントと合併し、最終的に太平洋セメントに統合されます。そして2000年に、秩父太平洋セメント株式会社として新たに設立されています。それ以降、秩父セメント第1工場は操業を停止し、現在は第2工場が重要な生産拠点となっています。

工場設計の特徴

秩父太平洋セメントの工場は、ただの生産施設にとどまらず、建築の美しさも追求した設計が施されています。建物は美しく分割された壁面と広い通路が特徴であり、圧倒的なボリュームを誇ります。特に、竣工当初から存在する建物群は、932 m²の建築面積を有しながら、緻密なデザインが施されています。このようなデザインのおかげで、視覚的な単調さを排除し、リズミカルな印象を与えています。

また、工場の立面は美しさにも富んでおり、谷口作品に共通する特徴として、縦に長い四角形が連なったデザインが見られます。様々な素材を用いた壁面のデザインも、外観をより魅力的にしています。さらに、この工場は安全面だけでなく、作業環境の衛生面にも配慮されており、現代的な生産活動を支える重要な基盤となっています。

結論

秩父太平洋セメント株式会社は、その歴史的背景や工場のデザインにおいて、セメント業界における重要な存在です。今後も地域経済への貢献と共に、持続可能な発展を目指していくことでしょう。

もう一度検索