秩父鉄道500系電車

秩父鉄道500系電車は、1962年から1967年にかけて日本車輛東京支店で製造された通勤形電車です。デハ500形とクハ600形による2両編成9本、合計18両が製造されました。

概要

車体形状は300系に準じていますが、車内はロングシートを採用しており、側面の客用窓が小さく、窓割りが大きく異なっています。前面は湘南形と呼ばれる二枚窓ですが、前照灯が二灯化されたため、300系との識別は容易でした。300系第2編成では空気バネ台車が採用されましたが、500系ではコイルバネ式台車が再び採用されています。電動車と制御車の2両編成になったことから、主電動機の出力は300系に比べて増強されました。連結面側には便所・洗面所が設置されていましたが、垂れ流し式であったため、黄害の問題から昭和50年代には閉鎖されました。電動方式は1M方式を採用し、電動発電機(MG)と電動空気圧縮機(CP)をデハ500形に集中搭載していました。

その後の変化

登場以来、大きな変化はありませんでしたが、1985年頃には前面のサボが廃止され、助士席側に100形と同タイプの方向幕が取り付けられました。1986年には、車体色が黄色に茶帯のカラーに変更されました。この際、「秩父鉄道」のサボとサボ受けは撤去され、同位置に「秩父鉄道」のロゴが取り付けられました。また、白熱灯であった前照灯も、1980年代後半にシールドビーム化されました。

置き換え

1991年11月に、本形式の置き換え用として2000系が投入され、1992年3月31日付けで全車廃車となりました。さよなら運転などは行われませんでした。本系列の車齢は若い車両でおよそ25年と、地方私鉄としては異例の短命でした。2014年まで使用された1000系の一部車両よりも新しいものだったにもかかわらず、早期に廃車された理由としては、急行用の300系と共通設計であったため通勤用にもかかわらず片開き2扉車であったこと、両開き4扉の1000系に比べて乗降に手間取ること、ATSなどの保安装置が未設置であったことなどが挙げられます。廃車後は石原駅構内などに留置された後、広瀬川原駅（熊谷工場）で全車解体されました。

その他

1978年には、デキ6・7号電気機関車のさよなら運転の客車として利用され、6両もの編成を組んだこともありました。

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