称名滝

称名滝

富山県中新川郡立山町に位置する称名滝は、立山連峰を源流とする壮大な滝です。その最大の特徴は、350mという日本一の落差を誇る四段構成の滝であることです。弥陀ヶ原台地から流れ落ちる水は、称名川となり、常願寺川へと注ぎ込みます。

概要

称名滝は、その圧倒的なスケールから、日本一の滝とも称されます。四段の滝は、それぞれ一段目70m、二段目58m、三段目96m、四段目126mと段差があり、滝つぼの直径は約60m、深さは約6mに及びます。この美しい景観は、国指定の名勝および天然記念物として保護されており、「日本の[[滝百選]]」や「日本の音風景100選」にも選定されています。また、日本三大名瀑の一つに数えられることもあります。名称の由来は、法然が滝の轟音を「南無阿弥陀仏」の称名念仏の声と聞いたという伝説に由来します。

春の雪解け時期には、称名滝の右側にハンノキ滝が現れ、二つの滝が並び立つ姿を見ることができます。さらに流量が増すと、ハンノキ滝の右側にソーメン滝も現れ、三本の滝が並ぶという、非常に珍しい光景が現れます。ハンノキ滝は落差497m（一般的には500mとされる）と、称名滝よりも落差が大きいものの、常時出現する滝ではないため、日本一の落差の滝とは認められていません。

称名滝は、約10万年前には現在の場所から15kmほど下流の小見地区付近にあったと考えられています。長い年月をかけ、基岩の溶結凝灰岩を年間約10cmずつ削りながら、悪城の壁などの急峻な地形を作り出し、現在の場所まで後退してきたとされています。

1945年（昭和20年）には、戦時中の電力不足を背景に、日本発送電が滝の中段に水力発電用の取水施設を建設しようと、滝の北側の崖を削る工事を行いました。しかし、工事中に終戦を迎え、事業を引き継いだ北陸電力は工事を中止しました。現在も、三段目の滝つぼから水平方向に掘削された跡が残っています。

2020年（令和2年）の調査では、年間約6000mmにも及ぶ降水量と地質の影響で、最下段（四段目）部分に新たな段差ができ、滝の段差が五段になりつつあることが判明しました。この新しい段差は2005年頃から形成され始めたとされており、今後の調査・研究によって詳細が明らかになることが期待されています。

称名滝の上流には、称名廊下という壮大な峡谷が広がっています。

交通アクセス

称名滝へは、富山県道6号富山立山公園線を立山方面へ進み、立山有料道路との分岐点から富山県道170号弘法称名立山停車場線に入ります。終点には駐車場があり、そこから徒歩約30分（約1.3km）で滝に到着します。また、季節によっては立山黒部貫光バスの称名滝線（立山駅 - 称名滝）が運行されています。

ドキュメンタリー

2021年5月29日には、NHK BSPで「立山連峰ハンノキ滝 単独初登攀の記録」という、日本一の氷瀑に挑むドキュメンタリー番組が放送されました。

脚注

出典

関連項目

称名川
立山
日本の[[滝百選]]
日本の音風景100選
日本三大一覧
地質・鉱物天然記念物一覧
エンジェルフォール（世界一の落差の滝）

外部リンク

称名滝 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
称名滝の紅葉　富山 - YouTube（朝日新聞社提供、2017年9月6日公開）

もう一度検索