称念寺 (甲斐市)

称念寺の概要

称念寺（しょうねんじ）は、山梨県甲斐市竜王新町に位置する浄土宗の寺院です。山号は必徳山となっており、本尊には阿弥陀如来像が祀られています。この寺院は、周囲の自然景観と美しい庭園に囲まれ、静かな雰囲気を醸し出しています。

所在地と歴史

甲斐市竜王新町は甲府盆地の中央北縁にあたり、南北に通る甲州街道（信州往還）が寺の前を通過しています。『甲斐国社記・寺記』によれば、称念寺は江戸時代の元和元年（1615年）に心誉によって創建されたとされていますが、1955年（昭和30年）発行の『竜王村史』では慶長11年（1606年）に創建されたという異なる伝承も存在しています。

また、竜王新町には室町時代に創建された慈照寺があり、称念寺はその後の時代に新たに築かれたものと考えられています。江戸中期には信慶寺という末寺もありましたが、廃絶したため、称念寺が代わりに建立されたと考えられています。

寺の変遷

江戸後期に編纂された『甲斐国志』の巻八十一において、称念寺はもともと赤坂地蔵院という名称であったと記載されています。寺院は寛永年間に除地を賜り、里中へと移転した際に、本尊が石造の六地蔵であったとされています。地蔵院は現在は廃寺となっていますが、称念寺の末寺として機能しており、石造六地蔵も現在の称念寺に伝わっています。

本尊と文化財

称念寺の本尊である阿弥陀如来像は、室町時代に制作されたもので、像高は89.7センチメートルです。本尊の左右には、観音菩薩像と勢至菩薩像が脇侍として配されており、これらは木造で玉眼嵌入の立体彫刻となっています。特に阿弥陀如来立像は、体部が一木で造られており、内刳りは施されていません。さらに、後背裏には「面貌再興」という銘文が残されており、近世に玉眼が加えられたとの見解が示されています。

観音菩薩像は像高が52.6センチメートル、勢至菩薩像は53.1センチメートルで、共にその彫刻は江戸時代に作られたものです。

また、ここには善導大師像や法然上人像として知られるまた別の阿弥陀如来坐像なども伝来しており、様々な歴史的価値のある作品を有しています。

六地蔵とその由来

称念寺の本堂の手前南側には、丸彫りの六体地蔵が並んでいます。これらの地蔵の高さは73センチメートルから83センチメートルで、寛永年間に赤坂諏訪神社前に創建された末寺の地蔵院からのものであるとされています。地蔵院は後に移転し、最終的には明治期の廃仏毀釈により廃寺となりましたが、六地蔵はその後、赤坂の石橋に転用され、大正期になって掘り出されて称念寺に移されました。

結論

称念寺は、山梨県内でも非常に重要な歴史を持った寺院であり、その文化財は地域の歴史を物語る貴重な存在です。本尊やその周辺にある彫刻多数は、多くの訪問者に深い感銘を与えています。歴史ある場所を訪れ、静かなひとときを過ごすには最適の場所です。

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