程紹

程紹（てい しょう）は、明代に活躍した官僚であり、字を公業と称しました。彼の出自は徳州にあり、江西右布政使であった程瑤の孫にあたります。

1589年（万暦17年）、程紹は進士に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に任じられたのは汝寧推官という役職で、その後、中央に召還されて戸科給事中となります。この時期、彼は京営の巡視を担当し、そこで不正を発見します。副将の佟養正ら五名が賄賂によって転任を求めている事実を突き止め、彼らを厳しく弾劾し、処分させました。この行動は、彼の公正な性格を示すものと言えるでしょう。

1597年（万暦25年）、程紹は河南への採鉱使の派遣を止めるよう上疏しますが、この意見は万暦帝に受け入れられませんでした。その後、彼は吏科左給事中に転じます。当時、御史の許聞造が戸部侍郎の張養蒙らを告発し、吏部侍郎の裴応章を批判するという事件が起こりました。これに対し、程紹は許聞造が3年に一度の官吏考課である計典を避けるために吏部に干渉し、内閣大学士の張位に取り入っていると反論しました。この反論が功を奏し、許聞造は辺境に左遷されることになります。また、朝廷で楊応龍の乱を討伐する人事が議論された際には、兵部が主事の趙世徳を軍事に詳しいとして推挙しましたが、程紹はこれに異を唱え、取りやめさせました。さらに、程紹が文選郎の楊守峻を弾劾した際には、楊守峻は自ら官を辞して去りました。また、饒州通判の沈榜が左遷され、税監の潘相得が留任したことを、程紹は非法であると直言しました。山西税使の張忠が夏県知県の韓薫を自分に逆らうものと見なして僻地に左遷しようとした際には、程紹はこの処分を巡って争いました。これらの行動は、彼の正義感と不屈の精神を示しています。

しかし、これらの直言は万暦帝の怒りを買い、程紹は罷免されて庶民の身分に落とされてしまいます。その後、20年もの間、彼は自宅で蟄居することになりました。

1620年（泰昌元年）、程紹は太常寺少卿として再び官界に復帰します。1624年（天啓4年）には右副都御史となり、河南巡撫を務めました。この時、臨漳で龍紐亀形方四寸の「玉璽」が出土し、程紹の手に渡りました。彼はこれを朝廷に披露し、秦の玉璽とみなして献上しました。しかし、魏忠賢が老賢の臣を排除するようになると、程紹はそれを憂い、鬱々とするようになりました。魏忠賢の勢力がますます拡大すると、程紹は病を理由に官を辞して帰郷しました。

1633年（崇禎6年）、程紹は推薦により工部右侍郎に起用されました。しかし、1635年（崇禎8年）、老齢を理由に致仕し、1637年（崇禎10年）に76歳で亡くなりました。その功績を称え、工部尚書の位が追贈されました。

程紹の息子には、南京戸部郎中の程震と中書舎人の程泰がいます。

程紹は、その生涯を通じて、不正を許さず、正しいと信じる道を進み続けた人物でした。彼の行動は、現代においても、私たちに多くの教訓を与えてくれます。

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