稲場巧

稲場 巧

稲場 巧（いなば たくみ、2002年（平成14年）7月24日 - ）は、日本のラグビーユニオン選手である。主にプロップ（PR）のポジションを務め、現在はジャパンラグビーリーグワンに所属する静岡ブルーレヴズの一員としてプレーしている。奈良県の出身。

生涯と経歴

稲場選手のラグビーキャリアは、地元奈良県の生駒市立生駒中学校で始まった。その後、ラグビー強豪校の一つである近畿大学附属高等学校に進学し、日々練習に励んだ。高校3年生の時、チームは高校ラガーマンの憧れである全国高校ラグビーフットボール大会への出場を目指し、大阪府予選を勝ち進んだ。しかし、準々決勝で長年の実績を持つ強豪校、常翔学園高等学校と対戦し、無念にも5対80という大きなスコアで敗退し、全国大会への扉を開くことはできなかった。この高校最後の大会での結果は、稲場選手の大学進学における状況に影響を及ぼした。

高校卒業後の進路において、稲場選手はスポーツ推薦による大学進学の基準を満たさなかった。そのため、近畿大学附属高校からの内部進学制度を利用し、一般推薦の形で近畿大学経済学部に進学することを決めた。これは、多くの大学ラグビー選手がスポーツ推薦で入学し、競技に集中できる環境に身を置く中で、彼にとっては学業と高レベルなラグビー競技活動という二つの側面を両立させるための、より一層の努力が求められる道となった。学業の単位取得に励みながら、厳しい練習にも真摯に向き合う日々が始まった。

大学での地道な努力はやがてグラウンドでの結果に繋がっていく。大学1年生だった2021年7月に行われた関西大学春季トーナメントに出場し、右プロップの控えとして実戦経験を積んだ。そして、その年の9月から開幕した関西大学ラグビーフットボールリーグの第1節からは、早くもチームの先発メンバーに名を連ね、リーグ戦を通して継続的に出場するようになった。この先発の座は、大学2年生、3年生、そして最終学年である4年生まで守り続けられた。大学ラグビーの主要な舞台で4年間にわたり先発プロップとしてプレーし続けたことは、彼のフィットネス、耐久力、そしてチームにとって不可欠な選手であったことの証明と言えるだろう。大学最終学年の2024年には、歴史ある関東ラグビーフットボール協会100周年記念大会において、関西を中心とした西日本学生ラグビー界の優秀選手が集まる西軍代表の一員として選出され、高いレベルでのプレーを経験した。

大学ラグビーでの確かな実績と将来性が評価された稲場選手は、2025年1月21日、日本のトップリーグであるジャパンラグビーリーグワンに所属する静岡ブルーレヴズへ、大学に在籍しながらプロチームの活動に参加できるアーリーエントリー制度を活用して加入することが発表された。これは、彼のプロフェッショナルラグビー選手としてのキャリアの第一歩となった。プロ契約発表からおよそ2ヶ月後の同年3月22日、JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24シーズンの第12節として開催された交流戦、ホストチームであるブラックラムズ東京との対戦で、途中交代から出場を果たし、念願のリーグワン公式戦デビューを飾った。この試合は、彼が長年積み上げてきた努力がプロの舞台で結実した記念すべき一戦となった。同年3月、稲場選手は近畿大学を無事卒業し、プロラグビー選手として本格的に活動を開始した。

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