稲川政右エ門 (1871年生)

稲川政右衛門の生涯と成績

稲川政右衛門（いながわ まさえもん）は、1871年10月20日に群馬県高崎市に生まれた大相撲力士です。本名は吉井から松本貞四郎に改名し、167cmの身長と110kgの体重を持ち、主に稲川部屋、浦風部屋、高砂部屋に所属しました。彼の最高位は関脇であり、多くのファンに親しまれました。

努力と成長

相撲の世界に入る際、稲川は多くの期待を背負っていたわけではありませんでした。初めは期待外れとされ、実力不足が指摘されましたが、彼は不断の努力を重ね、入幕を果たします。1888年5月に初土俵を踏んで以来、彼の相撲人生は努力の連続でした。特に1900年の1月場所では8勝1敗という成績を収め、優勝相当の実力を見せつけました。

上位陣との闘い

1901年から1906年にかけて、彼は上位力士に定着し、関脇を5場所務めました。1901年5月には大関梅ノ谷と引き分け、1902年1月の大砲戦では勝利を収めました。また、彼の晩年には1907年5月に横綱梅ヶ谷にも勝利するなど、記憶に残る数々の名勝負を繰り広げました。

引退とその後

しかし、力士生活は決して平坦ではなく、1909年1月には9戦全敗という結果に終わりました。この時期は両国国技館が開館する直前であったため、稲川は引退を決意します。引退後は年寄・5代稲川を襲名し、相撲界に寄与しましたが、1916年2月にはこの世を去ることとなります。

成績と記録

稲川の相撲人生は実績に満ちています。彼は42場所にわたり番付に在位し、通算成績は96勝86敗45休、25分5預という記録を残します。十両在位は4場所、その成績は20勝14敗3分です。一方で幕内においては22場所で76勝72敗45休、22分5預という成績を記録しています。また、優勝相当成績は1回です。

幕内力士としての影響

当時の幕内力士は、千秋楽（10日目）には取組が行われないことが一般的で、稲川もこのルールの中で戦っていました。そのため、彼の各場所での休場数は実質的な皆勤に相当します。

改名と肖像

稲川はその生涯において、何度か名前を改名しています。1888年から1890年にかけては豊岡貞四郎、1890年から1898年には玉風貞四郎、そして最終的に1899年から引退の1909年まで稲川政右衛門として知られました。また、彼の肖像写真は写真家の谷口雅彦氏によって保存されており、大阪毎日新聞社が贈った化粧まわしを締めた姿を映しています。

最後の安らぎ

稲川は群馬県高崎市の常安寺に墓が建立されており、彼の遺志は今もなお相撲ファンに語り継がれています。彼の努力と成績は、多くの後輩力士たちにとっての目標であり、相撲界における重要な存在であったことは間違いありません。

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