稲川誠一 (実業家)

稲川誠一（いながわ せいいち）は、1925年10月1日に生まれ、2016年6月28日に90歳で生涯を閉じた、日本の自動車技術者です。彼は、スズキ株式会社（以下、スズキ）の第3代取締役会長を務め、その技術力と経営手腕でスズキの発展に大きく貢献しました。

1945年、浜松工業専門学校（現在の静岡大学工学部）精密機械科を卒業後、鈴木式織機株式会社（現在のスズキ）に入社しました。入社後は、自動車技術者としてその才能を発揮し、スズキの初期の自動車開発において重要な役割を果たしました。特に、スズキ・スズライト、スズキ・キャリイ、スズキ・フロンテ360などの開発に携わり、これらの車種は、当時の日本の自動車市場において大きな影響を与えました。

1964年には技術部長に就任し、その後も技術サービス部長、取締役技術管理部長と、スズキの技術部門において重要な役職を歴任しました。1979年には常務取締役、1981年には専務取締役に昇進し、経営幹部としてスズキの成長を支えました。1987年には、取締役会長に就任し、経営トップとして会社の舵取りを担いました。同年には、長年の技術開発への貢献が認められ、藍綬褒章を受章しています。

稲川誠一は、技術者としての卓越した能力に加え、経営者としての優れた手腕を発揮し、スズキの発展に大きく貢献しました。彼の技術開発への情熱と経営に対するビジョンは、スズキが世界的な自動車メーカーへと成長するための基盤を築いたと言えるでしょう。1993年に常任相談役に退任するまで、彼はスズキの発展を見守り続けました。また、この間、日本自動車工業会の理事なども歴任し、日本の自動車産業全体の発展にも貢献しました。

2016年、稲川誠一は90歳で亡くなりました。告別式は、浜松市中区（現・中央区）のイズモホール浜松貴賓館で執り行われ、多くの関係者が彼の死を悼みました。彼の生涯は、日本の自動車技術の進歩と、スズキという企業が成長していく過程において、重要な役割を果たしたことを示しています。その功績は、後世に語り継がれるべきものでしょう。

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