稲沢機関区

JR貨物稲沢機関区：歴史と役割

JR貨物稲沢機関区は、愛知県稲沢市に位置する、重要な乗務員区です。その歴史は、1925年（大正14年）に稲沢操車場として開業したことに始まります。当初は東海道本線、中央西線、関西本線などを中心に貨物輸送を担い、蒸気機関車を中心に多くの車両が配置されました。

1931年（昭和6年）、稲沢機関庫として本格的に稼働開始。C50形、9600形、D50形など様々な蒸気機関車が活躍しました。1936年（昭和11年）には、稲沢機関区と改称され、配置車両も1000形、1150形、D51形など多様化していきます。第二次世界大戦中の1944年（昭和19年）には、軍事輸送の拠点として、80両もの機関車を擁する一大機関区へと成長しました。

1953年（昭和28年）、東海道本線の電化に伴い、稲沢機関区は稲沢第一機関区（蒸気機関車担当）と稲沢第二機関区（電気機関車担当）に分割されました。その後、第二機関区には、EH10形、EF65形、EF64形といった新型電気機関車が順次導入され、近代化が進みました。第一機関区では、1971年（昭和46年）に蒸気機関車の運用が終了し、ディーゼル機関車への完全移行が完了しました。DE50形やDE11形などが活躍するようになりました。

1985年（昭和60年）、第一機関区と第二機関区は統合され、再び稲沢機関区となりました。1986年（昭和61年）には、名古屋客貨車区の一部業務を移管し、稲沢貨車区が発足しました。国鉄民営化後の1987年（昭和62年）4月1日には、JR貨物東海支社の管轄となりました。1994年（平成6年）には、稲沢機関区と稲沢貨車区が統合され、車両配置区である愛知機関区が分離。稲沢機関区は、乗務員区としての役割に特化することになりました。

現在、稲沢機関区の乗務員は、東海道本線、中央本線、関西本線、名古屋港線、西名古屋港線、美濃赤坂線、塩浜線など、広範囲にわたる路線の貨物列車の運行を支えています。静岡貨物駅から吹田貨物ターミナル駅までの東海道本線貨物輸送、名古屋駅から塩尻駅までの中央本線貨物輸送、名古屋駅から多気駅までの関西本線貨物輸送など、重要な役割を担っています。

稲沢機関区の歴史は、日本の貨物輸送の歴史そのものを映し出しています。蒸気機関車全盛期から、電気・ディーゼル機関車時代への移行、そしてJR貨物時代へと、時代に合わせて変化を遂げながら、日本の経済活動を支える重要な役割を継続して担い続けているのです。長い歴史と豊富な経験を持つベテラン乗務員たちが、これからも安全で効率的な貨物輸送に貢献していくことでしょう。

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