愛知機関区

愛知機関区：JR貨物の要衝、その歴史と役割

愛知機関区は、JR貨物が愛知県稲沢市に設置する機関区です。東海道本線沿線という恵まれた立地を活かし、電気機関車、ディーゼル機関車、そして貨車の検査・修繕を担う重要な役割を担っています。

発足から現在までの歩み

愛知機関区は、1994年5月2日、稲沢機関区と稲沢貨車区の改組によって発足しました。以来、JR貨物における貨物輸送の変化に合わせて、組織や運用形態を大きく変遷させてきました。

当初は、紀勢本線や高山本線での運用も担当していましたが、1995年には紙輸送の終了に伴い、紀勢本線での運用は鵜殿駅以北に、高山本線では岐阜駅～坂祝駅間に短縮されました。1996年にはEF65形が転出、浜松地区・静岡地区でのDE10形運用開始（JR東海からの移管）など、変化の激しい時代を乗り越えてきました。

2007年には高山本線坂祝駅へのセメント輸送終了により、同線での運用を完全に終了。2010年には、高崎機関区・岡山機関区からEF64形が転入し、JR貨物におけるEF64形の集中配置区となりました。伯備線方面の運用は、岡山機関区に配置された機関車によって担われています。2013年には紀勢本線鵜殿駅からの紙輸送が終了、2015年には山陰本線米子駅の貨物取扱機能の移転に伴い、EF64形の岡山機関区常駐運用も変更されました。

2015年4月には名古屋車両所からの内燃機関検修業務の移管を受け、愛知機関区稲沢派出が発足。その後、2016年からDF200形200番台、2018年にはDD200形が順次導入され、ディーゼル機関車の近代化が進みました。2021年3月には、DD51形ディーゼル機関車の運用が終了しています。

施設と設備

愛知機関区は、広大な敷地に整備された複数の施設から構成されています。敷地のほぼ中央には、6線からなる検修庫があり、機関車や貨車の交番検査、台車検査、重要部検査などが実施されています。検修庫の線路は、貨車用、機関車用とそれぞれに用途が分けられています。

敷地北側には、3線を備えた仕業庫があり、機関車の仕業検査が行われます。また、南側には転削庫が2線あります。稲沢派出は、機関車から取り外されたディーゼルエンジンの整備を行う施設で、重要部検査や全般検査の際に活躍しています。

所属車両と運用

2024年3月現在、愛知機関区には様々な種類の機関車が所属しています。

EF64形: 1000番台が23両所属し、中央本線、篠ノ井線、山陽本線、伯備線などで運用されています。2010年以降、JR貨物におけるEF64形の集中配置区となっています。
DE10形: 1500番台1両（1557号機）が所属していますが、2024年3月以降は岡山機関区に貸し出されています。過去には、日本車輌からの甲種輸送にも使用されていました。
DF200形: 200番台8両が所属し、主に関西本線（名古屋～四日市間）で活躍しています。DD51形の置き換えとして導入されました。
DD200形: 900番台1両、0番台25両の計26両が所属しています。入換作業と貨物輸送の両方に対応できる汎用性の高い機関車で、東北から九州まで幅広い地域で運用されています。甲種輸送にも使用され、DE10形からの置き換えが進んでいます。

過去にはDD51形も所属していましたが、2021年3月のダイヤ改正で運用を終了しています。

支区・派出

愛知機関区は、稲沢派出の他に、四日市支区、名古屋貨物ターミナル派出、東港派出を置いています。四日市支区と東港派出の検修業務は名古屋臨海[[鉄道]]に委託されています。

愛知機関区は、JR貨物の貨物輸送を支える重要な拠点として、今後もその役割を担っていくことでしょう。 その歴史と変遷は、日本の貨物輸送の歴史そのものを映し出しています。

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