稲葉修

稲葉 修（いなば おさむ）

稲葉修（1909年11月19日 - 1992年8月15日）は、日本の著名な政治家であり、法務大臣や文部大臣などを歴任した。また、彼は衆議院議員を14期務め、法学博士の肩書きを持つ。

生い立ちと学歴

新潟県村上市に生まれた稲葉は、中学や高校時代に数々の武勇伝を残しましたが、それに伴い中途退学の経歴も持っています。1936年には中央大学法学部を卒業し、1940年には同大学院を修了しました。1945年には中央大学で教授に就任し、憲法や行政法を教えていました。1962年には法学博士の学位を取得しました。

政治活動の幕開け

政治家としてのキャリアは1947年に始まり、民主党公認で衆議院議員に立候補しましたが、最初の選挙では落選。しかし、1949年の選挙で初当選し、以降14回の当選を果たすことになります。1952年には改進党から出馬し、一時的に落選しましたが、1953年に復帰しました。その後、日本民主党を経て自由民主党に加入し、党内では河野派や中曽根派に所属しました。

大臣としての活躍

稲葉は文部大臣として田中角栄内閣に入閣し、後に三木武夫内閣では法務大臣を務めました。法務大臣就任時には、当初、三木首相は稲葉を防衛庁長官に任命する意向を持っていましたが、稲葉の外見を配慮し、坂田道太がその職を得ることとなりました。法務大臣在任中の1975年には「日本国憲法は欠陥憲法」と発言し、護憲派からの厳しい批判を浴びました。

また、同年には日本赤軍による事件が起こり、法務大臣として釈放に応じる結果となります。さらに、ロッキード事件の際には、自ら捜査に対するコメントを出し、田中角栄逮捕を許可することになりました。稲葉はその後も法務大臣としての存在感を強め、多くの場面で強い言動を見せました。

死刑執行と大臣の姿勢

法務大臣としての稲葉は、社員の死刑執行命令を行った記録もあり、その数は前後の大臣と比べても目立って増加しました。彼が法相を務めていた期間中、1975年と1976年には二桁の死刑執行を行った唯一の大臣であり、その決断の影響は大きなものでした。

しかし、1976年の総選挙では、当選しながらも最下位での当選となり、これは田中角栄逮捕に対する新潟県民の反発が影響したとの見方もありました。1980年春には叙勲を受け、後に政界から引退しました。

趣味と個性

釣りと相撲を愛する人柄の稲葉は、日本相撲協会の横綱審議委員を務め、厳しい見解を持つことで知られました。その批判的な発言や皮肉屋的な側面は、政界でも評判で、親の地盤を継ぐ議員の現状を鋭く批判しました。著作も数多くあり、特に政治や法に関する論考を残しています。

最後の時

稲葉修は1992年8月15日に老人性肺炎と心不全により82歳で亡くなりました。彼の一生は日本の政治史に大きな足跡を残しており、その影響は今も色濃く残っています。

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