稲葉正恒

稲葉 正恒の生涯

概要

稲葉正恒（いなば まさつね）は、江戸時代中期に存在した山城淀藩の第3代藩主で、正成系稲葉家の宗家第7代目にあたります。彼は正式な官位は持っていなかったものの、通称として平佐衛門や玄蕃何名で呼ばれ親しまれていました。

経歴

稲葉正恒は、江戸時代の初めに新沼郡内の7000石を支配していた淀藩稲葉家の分家出身です。彼の父は稲葉正倚であり、正恒はその三男として生を受けます。結婚相手には毛利元次の娘を迎えています。

その人生の大きな転機は、正徳4年（1714年）11月25日に訪れました。実父である正倚がこの世を去った際、正恒は旗本稲葉家の家督を継ぐことになり、寄合に所属します。父の死によって彼は7000石の支配者となり、その安定した領地のもとで生活を開始しました。

享保元年（1716年）には、将軍徳川吉宗に初めてお目見えする機会を得ました。これは、彼の地位を公に認められた重要な出来事であり、稲葉家の名を広めるきっかけとなりました。

さらに、享保15年（1730年）1月14日、先代藩主である本家の稲葉正任が夭逝したことにより、正恒は末期養子としてその後を継ぎます。しかし、同じ年の3月24日、わずか25歳の若さで逝去してしまいました。これにより、旗本稲葉家は絶家となります。

正恒の後継者は、叔父である稲葉正直の家督を継いだ養子の稲葉正親であり、彼は大田原晴川の子でした。彼の法号は剛節院とされており、墓所は東京都墨田区向島に位置する弘福寺にあります。

系譜

稲葉正恒の家族背景は、父である稲葉正倚、養父としての稲葉正任、そして結婚相手の毛利元次の娘から成ります。正恒は、その短い生涯の中で家督を承継し、名門としての地位を築こうとしましたが、運命は彼に試練を与えました。

彼の人生は、武士としての責任、名家としての期待、そして若くして失われた短い日々の象徴でもあります。正恒の物語は、歴史の片隅で忘れ去られがちですが、彼の存在は稲葉家の歴史の一部として、今も語り継がれています。

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