稲葉正成

稲葉正成の生涯と業績

概要

稲葉正成（いなば まさなり）は、安土桃山時代から江戸時代にかけての日本の武将であり、数つの藩の主を務めた重要な大名です。美濃国の十七条藩と下野国真岡藩の初代藩主として知られており、正成系稲葉家の初代当主でもあります。

幼少期と家族

彼は元亀2年（1571年）、美濃国で林政秀の次男として生まれました。稲葉重通の婿養子となった後、重通の娘との結婚に至りますが、彼女には先立たれてしまいました。その後、重通は姪である福（後の春日局）を養女として正成に嫁がせました。このような家族の構成は、後の正成の人生に大きな影響を与えることになります。

仕官の道

正成は義父である重通と共に豊臣秀吉に仕え、その後小早川秀秋の家臣として活躍しました。彼は五万石の石高を誇る家臣として、秀秋を補佐する役割を担い、四国攻めや小田原征伐、さらには慶長の役にも参加しました。特に慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、平岡頼勝と協力し徳川家康と内通、秀秋を東軍に寝返らせることに成功しました。しかし、その後秀秋との関係が悪化し、美濃に蟄居を命じられることとなります。

乱世を生き抜く

慶長7年（1602年）に秀秋が亡くなると、正成は浪人の身となりましたが、慶長9年（1604年）には家康の嫡孫である竹千代の乳母の募集に妻の福が応募し、これによって彼らの関係は複雑化します。正成は福との離縁を選び、その後家康に召し出されることになります。1607年には美濃国内に一万石の領地を与えられ、大名としての地位を確立しました。その後も松平忠昌の家老や清崎城主として仕官を続け、大坂の夏の陣では忠昌を補佐して戦功を上げました。

その後の人生

寛永元年（1624年）には忠昌の越前藩相続には従わず、勝手に出奔しますが、このことが原因で幕府により息子・正勝の領内で蟄居を命じられました。最終的に下野真岡藩二万石に封じられ独立した大名として呼び戻されます。しかし、寛永5年（1628年）に亡くなり、享年58歳でした。

子孫とその影響

正成の子孫は後々まで続き、正勝の子は山城国淀藩主となり、外孫の堀田正盛は下総国佐倉藩主となりました。正成の名声はその後も長い間語り継がれました。

江戸時代の伝承

歴史書『常山紀談』では、正成を含む武将たちが「天下七兄弟」として結束し、卓越した武勇を誇ったという伝承が伝えられています。さらに、明治時代中期には真岡市の般若寺に正成の特別霊廟が存在し、彼に対する深い敬意が表されていました。この霊廟には彼の遺骨や位牌、木像が安置されていましたが、火災によってその多くが失われ、位牌だけが残る結果となりました。また、大河ドラマ『春日局』の放送によって、正成に対する興味が再燃し、多くのファンが彼の霊廟を訪れるようになりました。

系譜

正成の家族構成には多くの子女が含まれており、彼の血筋はさまざまな大名に繋がっています。特に、正次や正勝といった息子たちはその後の稲葉家を支える重要な存在となりました。それぞれの子供たちがどのような役割を果たしたのかは、今後の研究においても注目されるトピックとなるでしょう。

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