積分記号

積分記号について

積分記号（せきぶんきごう、英語: Integral symbol）は、数学における積分演算を表すために用いられる記号です。その形状は、アルファベットの「s」を縦方向に長くしたもので、和（sum）を意味するラテン語の「summa」に由来します。この記号は、17世紀末にドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツによって導入されました。

概要

積分記号は、もともと長いs（ſ）を変形させたもので、総和を表す記号Σと同様に、和の概念を表しています。記号の形状は、sを上下に伸ばしたものや、斜めに寝かせたものなど、いくつかのバリエーションがあります。定積分の場合は、積分記号の右下に下端、右上に上端を記述するのが一般的ですが、下に下端、上に上端と記載する場合もあります。

使用例

関数 f(x) の不定積分を F(x) 、集合D上での f(x) の積分を I とすると、以下のように表されます。

math
F(x) = \int f(x) dx, \quad I = \int_{D} f(x) dx

呼び方

積分記号は、一般的に「積分記号」または「インテグラル（Integral）」と呼ばれます。数式を口頭で伝える場合や数学の授業では、「インテグラル」と発音することが多く、例えば、`∫ x^2 dx` は「インテグラル エックス二乗 ディーエックス」と読んだり、「エックスの二乗をエックスで積分する」と説明したりします。

著名な言及

物理学者のリチャード・P・ファインマンは、著書『ファインマン物理学』の中で、積分記号が「和」の記号であることを忘れられがちであることについて言及しています。また、数学教材では、「インテグラルと読む」と説明されるのが一般的です。

類似する記号

積分記号に類似する記号としては、以下のようなものがあります。

無声後部歯茎摩擦音（ʃ）: 音声学で使用される記号。
f字孔: ヴァイオリンなどの弦楽器のサウンドホールの形状。
Sの字体: 企業ロゴなどで見られる、積分記号に似たSの字体。

二重積分記号

二重積分では、積分記号を2つ並べた記号が用いられます。集合D上での関数f(x,y)の積分Vは以下のように表されます。

math
V = \iint_{D} f(x,y) dxdy

閉路積分記号

周回積分（閉路積分）では、積分記号の中央に丸を書き加えた記号が使用されます。グリーンの定理の例では以下のように使われます。

math
\oint_{\partial D} (Pdx + Qdy) = \iint_{D} \left( \frac{\partial Q}{\partial x} - \frac{\partial P}{\partial y} \right) dxdy

他言語での活字体

他の言語では、積分記号の形状が英語の書物で見られるものと若干異なる場合があります。また、定積分の上下端の位置も異なります。英語の書物では、上下端は積分記号の右側に位置しますが、ドイツやロシアの書物では、積分記号の上下に位置し、より多くのスペースを要する記述となります。

math
\text{英語式: } \int_{0}^{T} f(t) dt


math
\text{ドイツ・ロシア式: } \int\limits_{0}^{T} f(t) \, dt

符号位置

積分記号はUnicodeにおいて特定の符号位置が割り当てられています。

出典

[参照元となる情報源]

関連項目

積分
* プライム

この解説では、積分記号の起源、使い方、および関連する記号について包括的に説明しました。数学を学ぶ上で、積分記号は不可欠な要素であり、その理解は高度な数学的概念へとつながります。

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