究極ハリキリスタジアム
ファミリーコンピュータ（FC）を中心に展開されたタイトーの野球ゲームシリーズ、『究極ハリキリスタジアム』は、そのユニークなシステムと演出から「ハリスタ」の愛称で多くのプレイヤーに親しまれました。
シリーズ最初の作品には、当時の日本プロ野球の実在球団をモデルにした12球団に加え、女性選手で構成された「アイドール」（Iチーム）が登場。後続の『平成元年版』では、お笑い芸人がモチーフと思われる「エンターズ」（Eチーム）が加わりました。球団名の略称には、実際のプロ野球で使用されていたものと紛らわしいものも存在し、遊び心が見られます。
選手名については、プロ野球選手の実名使用許諾を得ていなかったため、当時の有名選手の名前をもじって使用しています。例えばヤクルトの選手では、小川淳司選手が「おがわじ」、杉浦亨選手が「すきうら」、古田敦也選手が「ふろた」といった具合にユニークな名前が付けられていました。
『究極ハリキリスタジアム』シリーズには、実際の野球のルールとは異なる独自の解釈やシステムが導入されていました。ファウルチップをキャッチャーが捕球するとアウトになったり、インフィールドフライのルールが存在しなかったり、ハーフスイングが全て空振りと見なされたりといった特徴があります。
一方で、ランナー二塁からのシングルヒットで二塁ランナーがホームに突入できるなど、実際の野球に近いスリリングなプレイも可能でした。また、設定で「ピッチャー有利」を選ぶと、打率が2割から4割程度に収まり、現実的な数字になるよう調整できた点も特徴です。
プレイ中の演出も独特でした。FC版（『III』を除く）のペナントモードでは、攻撃時にはバッターを中心とした視点、守備時にはピッチャーを中心とした視点へと画面が切り替わりました。デッドボール後にはABボタンの連打で乱闘が発生したり、十字ボタンの入力で乱闘を回避したりできる隠し要素も。
ズームモードを搭載しており、ファインプレーやクロスプレーの際に画面がズームアップされることで、より臨場感のあるシーンが描かれました。ペナントモードでは選手の能力を強化でき、成長した打者は体型が変化したり、投手は「燃える魔球」や「分裂魔球」といった魔球を習得したりしました。他にも、同点7回といった特定条件下で酔っ払い観客がグラウンドに乱入するイベントや、顔アイコンで選手のコンディションが表示されるシステム、平成元年版で風の視点が導入されたことなど、バラエティ豊かな要素が盛り込まれています。
試合の開始直後や人気のないカードでは客席がまばらに描かれるなど、細部へのこだわりも見られました。また、試合の合間には実況アナウンサーと解説者のイラストが挿入され、第1作目では徳光和夫氏に似たアナウンサーと長嶋茂雄氏に似た解説者が登場。ヤクルトの長嶋一茂選手を代打で起用すると特別なコメントが出るなど、ファンサービスも豊富でした。
ピッチャーのスタミナが切れた際にBボタンを2回押すと、キャッチャーが駆け寄りスタミナが回復するシステムや、段階的なランナーリードが可能で、牽制アウトも狙いやすい画面構成など、ゲームプレイを盛り上げる工夫が凝らされていました。
『究極ハリキリスタジアム』シリーズはFCで5作品、スーパーファミコン（SFC）で2作品、そしてアーケードで1作品が発売されました。
FC版: 初代（1988年）は当初「ハリキリスタジアム究極の野球狂」という名称で発表。選手データを更新した『'88 選手新データバージョン』（1988年）、選手エディット機能や野球漫画キャラなどをパスワードで登場させられた『平成元年版』（1989年）を経て、『III』（1991年）では育成要素が無くなる代わりに最大130試合のペナントレースや詳細な成績記録、多様な隠しチームが追加。高校野球をテーマにした『究極ハリキリ甲子園』（1992年）も発売されました。
SFC版: 『スーパー究極ハリキリスタジアム』（1993年）では、選手名・球団名が実名化され、日本のプロ野球に加えアメリカのプロリーグをモチーフにしたチームも登場。育成要素は「プラクティスモード」として復活しました。定岡正二氏が推薦者として説明書にも登場しています。『スーパー究極ハリキリスタジアム2』（1994年）では選択可能な球場が増え、オールスターモードや隠しチームが追加されました。
* アーケード版: 『ハリキリオンライン プロ野球』（2005年）は、オンライン野球ゲームの先駆けとしてタイトーのNESYS対応第一弾となりました。データが古く、東北楽天ゴールデンイーグルスではなく大阪近鉄バファローズが登場する点が特徴です。
発売当時、『究極ハリキリスタジアム』は既存の人気野球ゲーム（『ファミスタ』や『燃えろ!!プロ野球』）の良い点を組み合わせたようなシステムから、一部ゲーム雑誌で「パクリゲー」と評されることもありました。しかし、ファミコン通信のクロスレビューでは28点（40点満点中）を獲得。レビュアーからは操作性の良さや、成長システム、アイドルチームといったユニークな要素が評価されました。視点切り替えやホームラン時の演出など、開発側の工夫や「他にないゲームを作ろう」という気迫が感じられる点を賞賛される一方、処理の重さや打球の動き、ルールの一部に対する注文も挙がっています。
独自のシステムとユーモアあふれる演出で、単なる野球ゲームに留まらない魅力を持っていた『究極ハリキリスタジアム』シリーズは、多くのファンに愛される作品群となりました。
個性的なチームと選手たち
シリーズ最初の作品には、当時の日本プロ野球の実在球団をモデルにした12球団に加え、女性選手で構成された「アイドール」（Iチーム）が登場。後続の『平成元年版』では、お笑い芸人がモチーフと思われる「エンターズ」（Eチーム）が加わりました。球団名の略称には、実際のプロ野球で使用されていたものと紛らわしいものも存在し、遊び心が見られます。
選手名については、プロ野球選手の実名使用許諾を得ていなかったため、当時の有名選手の名前をもじって使用しています。例えばヤクルトの選手では、小川淳司選手が「おがわじ」、杉浦亨選手が「すきうら」、古田敦也選手が「ふろた」といった具合にユニークな名前が付けられていました。
ハリスタならではのルールとシステム
『究極ハリキリスタジアム』シリーズには、実際の野球のルールとは異なる独自の解釈やシステムが導入されていました。ファウルチップをキャッチャーが捕球するとアウトになったり、インフィールドフライのルールが存在しなかったり、ハーフスイングが全て空振りと見なされたりといった特徴があります。
一方で、ランナー二塁からのシングルヒットで二塁ランナーがホームに突入できるなど、実際の野球に近いスリリングなプレイも可能でした。また、設定で「ピッチャー有利」を選ぶと、打率が2割から4割程度に収まり、現実的な数字になるよう調整できた点も特徴です。
プレイ中の演出も独特でした。FC版（『III』を除く）のペナントモードでは、攻撃時にはバッターを中心とした視点、守備時にはピッチャーを中心とした視点へと画面が切り替わりました。デッドボール後にはABボタンの連打で乱闘が発生したり、十字ボタンの入力で乱闘を回避したりできる隠し要素も。
ズームモードを搭載しており、ファインプレーやクロスプレーの際に画面がズームアップされることで、より臨場感のあるシーンが描かれました。ペナントモードでは選手の能力を強化でき、成長した打者は体型が変化したり、投手は「燃える魔球」や「分裂魔球」といった魔球を習得したりしました。他にも、同点7回といった特定条件下で酔っ払い観客がグラウンドに乱入するイベントや、顔アイコンで選手のコンディションが表示されるシステム、平成元年版で風の視点が導入されたことなど、バラエティ豊かな要素が盛り込まれています。
試合の開始直後や人気のないカードでは客席がまばらに描かれるなど、細部へのこだわりも見られました。また、試合の合間には実況アナウンサーと解説者のイラストが挿入され、第1作目では徳光和夫氏に似たアナウンサーと長嶋茂雄氏に似た解説者が登場。ヤクルトの長嶋一茂選手を代打で起用すると特別なコメントが出るなど、ファンサービスも豊富でした。
ピッチャーのスタミナが切れた際にBボタンを2回押すと、キャッチャーが駆け寄りスタミナが回復するシステムや、段階的なランナーリードが可能で、牽制アウトも狙いやすい画面構成など、ゲームプレイを盛り上げる工夫が凝らされていました。
シリーズの展開
『究極ハリキリスタジアム』シリーズはFCで5作品、スーパーファミコン（SFC）で2作品、そしてアーケードで1作品が発売されました。
FC版: 初代（1988年）は当初「ハリキリスタジアム究極の野球狂」という名称で発表。選手データを更新した『'88 選手新データバージョン』（1988年）、選手エディット機能や野球漫画キャラなどをパスワードで登場させられた『平成元年版』（1989年）を経て、『III』（1991年）では育成要素が無くなる代わりに最大130試合のペナントレースや詳細な成績記録、多様な隠しチームが追加。高校野球をテーマにした『究極ハリキリ甲子園』（1992年）も発売されました。
SFC版: 『スーパー究極ハリキリスタジアム』（1993年）では、選手名・球団名が実名化され、日本のプロ野球に加えアメリカのプロリーグをモチーフにしたチームも登場。育成要素は「プラクティスモード」として復活しました。定岡正二氏が推薦者として説明書にも登場しています。『スーパー究極ハリキリスタジアム2』（1994年）では選択可能な球場が増え、オールスターモードや隠しチームが追加されました。
* アーケード版: 『ハリキリオンライン プロ野球』（2005年）は、オンライン野球ゲームの先駆けとしてタイトーのNESYS対応第一弾となりました。データが古く、東北楽天ゴールデンイーグルスではなく大阪近鉄バファローズが登場する点が特徴です。
当時の評価
発売当時、『究極ハリキリスタジアム』は既存の人気野球ゲーム（『ファミスタ』や『燃えろ!!プロ野球』）の良い点を組み合わせたようなシステムから、一部ゲーム雑誌で「パクリゲー」と評されることもありました。しかし、ファミコン通信のクロスレビューでは28点（40点満点中）を獲得。レビュアーからは操作性の良さや、成長システム、アイドルチームといったユニークな要素が評価されました。視点切り替えやホームラン時の演出など、開発側の工夫や「他にないゲームを作ろう」という気迫が感じられる点を賞賛される一方、処理の重さや打球の動き、ルールの一部に対する注文も挙がっています。
独自のシステムとユーモアあふれる演出で、単なる野球ゲームに留まらない魅力を持っていた『究極ハリキリスタジアム』シリーズは、多くのファンに愛される作品群となりました。
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