空も飛べるはず

空も飛べるはず

「空も飛べるはず」は、日本のロックバンドスピッツが1994年にリリースした楽曲で、彼らの通算8作目のシングルです。本曲は、ドラマの主題歌として依頼を受け、シナリオを基に草野マサムネが短期間で作り上げたものでした。しかし、主題歌としての採用は実現しなかったものの、その後シングルとして発売されることとなりました。

レコーディングの背景

本楽曲のレコーディングは、前年にリリースされたアルバム「Crispy!」のプロデューサーである笹路正徳がスケジュールの都合で参加できなかったため、土方隆行がプロデューサーを務めました。この期間、次のシングル「青い車」のレコーディングも行われていましたが、最終的には5thアルバム「空の飛び方」の制作時に笹路が復帰し、アルバムバージョンの制作が行われました。ボーカルテイクを再録し、リミックスが施された結果、楽曲はさらに磨かれました。

ジャケットとプロモーション

ジャケットデザインは、Central67の木村豊が手掛けており、スピッツ関連作品のデザインには現在も彼が関わっています。プロモーションビデオは竹内鉄郎によって制作され、撮影は茨城県の東京医科歯科大学医学部附属病院霞ヶ浦分院で行われました。この病院は現在は存在していませんが、ビデオには老紳士役として丸山詠二が出演しています。

チャートと受賞歴

1994年の発売当初はオリコン最高28位を記録しましたが、1996年にフジテレビ系ドラマ『白線流し』の主題歌に起用されたことで再び注目され、同一品番での再出荷が行われました。その結果、オリコンチャートで再登場し、2位、翌週には初のシングル1位を獲得し、さらにはミリオンセラーにも成長しました。また、卒業ソングとしての認識も高まり、1996年3月には第8回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主題歌賞を受賞しています。

ロングセラーとしての位置付け

「空も飛べるはず」は、リリースから数年を経てもなお、その人気を失うことなく、2023年2月にはダウンロード認定でトリプル・プラチナ（75万ダウンロード）に認定されるなど、ロングセラーとしての地位を確立しました。また、2010年にYouTubeで公開された公式ミュージックビデオは、2024年には1億再生を突破する見込みで、1990年代にリリースされた楽曲としては4曲目の1億再生達成となります。

デモバージョン「めざめ」

実は、「空も飛べるはず」にはデモバージョンが存在しており、1993年12月24日に収録されたものです。このデモは、アレンジや歌詞が異なり、当初は「めざめ」というタイトルで制作されました。このバージョンは、2006年リリースの「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection」の初回盤にボーナスディスクとして収録されることになりました。

影響とカバー

2017年にはガールズバンド「ねごと」によってカバーされ、映画『トリガール!』の主題歌として使用されました。カバーの背景には、映画監督からの依頼があり、スピッツのメンバーとの親交も影響していたと言います。ミュージックビデオには映画の主演である土屋太鳳が出演し、斬新な映像と共に楽曲が再現されました。他にも、AKB48の柏木由紀や泉まくらによるカバーもあり、時間を経てもなお多くのアーティストによって愛され続けています。

大張偉による盗作疑惑

一方で、中国の歌手大張偉が発表した楽曲が「空も飛べるはず」とメロディが酷似しているという盗作疑惑も取り沙汰されました。大張は、自身の曲における権利が日本から得たものであると主張し、疑惑は今なお注目を集めています。

結論

「空も飛べるはず」は、スピッツにとって象徴的な楽曲となり、多くの人々に感動を与えた作品です。時代を超えた名曲として、今後も様々な形で語り継がれていくことでしょう。

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