Crispy!
スピッツの4枚目のオリジナルアルバム『Crispy!』は、1993年9月26日にポリドールからリリースされました。デビュー3年目を迎え、それまでの売り上げ不振から「結果を出さなければ」という意識が強まったメンバーが、初めて外部プロデューサーとして笹路正徳氏を迎えて制作されました。
これまでのスピッツの音楽性とは異なり、笹路氏のプロデュースにより、シンセサイザーやホーンを大々的に取り入れた、よりポップで売れ線を意識したサウンドへと大きく変化しました。草野マサムネ氏の楽曲も、より一般受けを狙ったものが多く、メンバー自身も「草野のソロ色が強い」と語るほど、これまでの作品とは異なるアプローチがなされています。
発売当初はチャート入りを果たせませんでしたが、バンドのブレイク後にランクインしました。売れるための作品作りには、批判がある程度予想されていましたが、むしろ売れなかったことで、草野氏は「自分の曲や声は一般受けしない」と落胆したと言われています。しかし、このアルバムからシングルカットされた「君が思い出になる前に」がチャートインし、バンドは売れるという目的を達成しました。この経験を経て、以後の笹路氏との制作方針は、変化していきました。
アルバムのジャケット写真は、ネイティブ・アメリカンのメイクを施した草野氏の写真が採用されましたが、当初は草野氏が女装した写真を使用する案もあったそうです。また、このアルバムから田村氏の名前の表記が「アキヒロ」から本名の「明浩」に変更されました。オリジナル盤は廃盤となっており、2002年10月16日には、LAのエンジニアであるスティーヴン・マーカッセン氏によるリマスタリングが施され、再発されました。再発盤には、音楽評論家の田家秀樹氏によるライナーノーツが封入されています。
1. クリスピー
アルバムのタイトル曲。バンド名の候補でもあったそうです。
2. 夏が終わる
AOR的なサウンドが特徴的な楽曲です。三輪テツヤ氏は「これまでのスピッツにはなかった曲で新鮮だった」と語っています。後に7thシングル「君が思い出になる前に」のカップリング曲として収録されました。2013年のライブでは、草野氏は「『暑すぎた夏』を見越して歌詞を書いたのに、制作当時の夏は記録的な冷夏だった」というエピソードを語っています。
3. 裸のままで
6thシングル。笹路氏と初めてレコーディングした曲。デビューシングル以来、久しぶりにMVが制作されました。
4. 君が思い出になる前に
後に7thシングルとしてリカットされ、バンド初のオリコンチャート入りを果たしました。
5. ドルフィン・ラヴ
ジミ・ヘンドリックスを意識した楽曲で、仮タイトルは「ジミヘン」でした。ライブテイクが映像作品に収録されています。
6. 夢じゃない
1997年に16thシングルとしてリカット。アルバム収録版とは別バージョンです。辺見えみりさんがカバーしています。
7. 君だけを
三輪氏曰く「メタルのバラード」。後に16thシングル「夢じゃない」のカップリングとして収録されました。
8. タイムトラベラー
母性がテーマの楽曲で、森高千里さんの雰囲気に似ていたため、仮タイトルは「森高」でした。テレビ番組のエンディングテーマにも起用されました。
9. 多摩川
スローナンバーで、ギターは全編アルペジオで演奏されています。アニメの挿入歌としても使用されました。
10. 黒い翼
町支寛二氏がコーラスで参加しています。
草野マサムネ：ボーカル、アコースティックギター
三輪テツヤ：ギター、エレクトリックシタール、バッキングボーカル (#10)
田村明浩：ベースギター
崎山龍男：ドラムス、パーカッション
笹路正徳：ハモンドオルガン、ローズ、ウーリッツァー、アコースティックピアノ、シンセサイザー、ビブラフォン
篠崎正嗣ストリングス：ストリングス
数原晋、林研一郎、河東伸夫：トランペット、フリューゲルホルン
中川英二郎、清岡太郎、岡田澄雄：トロンボーン
ジェイク・H・コンセプション、平原まこと：サックス
町支寛二、柚木彩子：バッキングボーカル (#10)
藤井理央：コンピュータプログラミング
1997年4月4日に「Spitz Analog Disc Collection Vol.4」として、アナログ盤がリリースされました。レッド・クリア・ビニール仕様で、小沢真理氏によるオリジナルコミック（イラスト）が収録されています。曲順、構成はオリジナル盤とは異なります。
MdN編集部『スピッツのデザイン』（初版）エムディエヌコーポレーション、2018年2月11日。ISBN 9784844367109。
* 1993年の音楽
『Crispy!』は、スピッツの音楽性を大きく変化させた作品であり、その後の活動に大きな影響を与えたアルバムと言えるでしょう。
概要
これまでのスピッツの音楽性とは異なり、笹路氏のプロデュースにより、シンセサイザーやホーンを大々的に取り入れた、よりポップで売れ線を意識したサウンドへと大きく変化しました。草野マサムネ氏の楽曲も、より一般受けを狙ったものが多く、メンバー自身も「草野のソロ色が強い」と語るほど、これまでの作品とは異なるアプローチがなされています。
発売当初はチャート入りを果たせませんでしたが、バンドのブレイク後にランクインしました。売れるための作品作りには、批判がある程度予想されていましたが、むしろ売れなかったことで、草野氏は「自分の曲や声は一般受けしない」と落胆したと言われています。しかし、このアルバムからシングルカットされた「君が思い出になる前に」がチャートインし、バンドは売れるという目的を達成しました。この経験を経て、以後の笹路氏との制作方針は、変化していきました。
アルバムのジャケット写真は、ネイティブ・アメリカンのメイクを施した草野氏の写真が採用されましたが、当初は草野氏が女装した写真を使用する案もあったそうです。また、このアルバムから田村氏の名前の表記が「アキヒロ」から本名の「明浩」に変更されました。オリジナル盤は廃盤となっており、2002年10月16日には、LAのエンジニアであるスティーヴン・マーカッセン氏によるリマスタリングが施され、再発されました。再発盤には、音楽評論家の田家秀樹氏によるライナーノーツが封入されています。
収録曲
1. クリスピー
アルバムのタイトル曲。バンド名の候補でもあったそうです。
2. 夏が終わる
AOR的なサウンドが特徴的な楽曲です。三輪テツヤ氏は「これまでのスピッツにはなかった曲で新鮮だった」と語っています。後に7thシングル「君が思い出になる前に」のカップリング曲として収録されました。2013年のライブでは、草野氏は「『暑すぎた夏』を見越して歌詞を書いたのに、制作当時の夏は記録的な冷夏だった」というエピソードを語っています。
3. 裸のままで
6thシングル。笹路氏と初めてレコーディングした曲。デビューシングル以来、久しぶりにMVが制作されました。
4. 君が思い出になる前に
後に7thシングルとしてリカットされ、バンド初のオリコンチャート入りを果たしました。
5. ドルフィン・ラヴ
ジミ・ヘンドリックスを意識した楽曲で、仮タイトルは「ジミヘン」でした。ライブテイクが映像作品に収録されています。
6. 夢じゃない
1997年に16thシングルとしてリカット。アルバム収録版とは別バージョンです。辺見えみりさんがカバーしています。
7. 君だけを
三輪氏曰く「メタルのバラード」。後に16thシングル「夢じゃない」のカップリングとして収録されました。
8. タイムトラベラー
母性がテーマの楽曲で、森高千里さんの雰囲気に似ていたため、仮タイトルは「森高」でした。テレビ番組のエンディングテーマにも起用されました。
9. 多摩川
スローナンバーで、ギターは全編アルペジオで演奏されています。アニメの挿入歌としても使用されました。
10. 黒い翼
町支寛二氏がコーラスで参加しています。
演奏
草野マサムネ：ボーカル、アコースティックギター
三輪テツヤ：ギター、エレクトリックシタール、バッキングボーカル (#10)
田村明浩：ベースギター
崎山龍男：ドラムス、パーカッション
笹路正徳：ハモンドオルガン、ローズ、ウーリッツァー、アコースティックピアノ、シンセサイザー、ビブラフォン
篠崎正嗣ストリングス：ストリングス
数原晋、林研一郎、河東伸夫：トランペット、フリューゲルホルン
中川英二郎、清岡太郎、岡田澄雄：トロンボーン
ジェイク・H・コンセプション、平原まこと：サックス
町支寛二、柚木彩子：バッキングボーカル (#10)
藤井理央：コンピュータプログラミング
アナログ盤
1997年4月4日に「Spitz Analog Disc Collection Vol.4」として、アナログ盤がリリースされました。レッド・クリア・ビニール仕様で、小沢真理氏によるオリジナルコミック（イラスト）が収録されています。曲順、構成はオリジナル盤とは異なります。
参考文献
MdN編集部『スピッツのデザイン』（初版）エムディエヌコーポレーション、2018年2月11日。ISBN 9784844367109。
関連事項
* 1993年の音楽
『Crispy!』は、スピッツの音楽性を大きく変化させた作品であり、その後の活動に大きな影響を与えたアルバムと言えるでしょう。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。