空中線電力

空中線電力について

空中線電力（くうちゅうせんでんりょく）は、送信機から送信線（アンテナ）に供給される電波の出力を指します。これは無線通信における重要な要素で、「送信出力」とも呼ばれています。無線局免許状にも記載されるこの値は、特有の形式で表示され、一般的には「50kW」や「20W」といった形で示されます。実際に空中に放出される電波の強さを知るためには、給電線における損失やアンテナの利得を考慮した「実効放射電力」（Effective Radiation Power: ERP）と呼ばれる指標が使われます。

定義

空中線電力に関する定義は、電波法施行規則の第2条第1項に記載されています。これによれば、空中線電力には以下のような種類が定義されています：
1. 尖頭電力: 送信機から空中線系の給電線への供給電力のピーク値で、通常の動作状態において測定されます。
2. 平均電力: 通常の動作中に供給される電力で、変調信号の最低周波数に対する相対的に長い時間（通常1/10秒）にわたって平均された値です。
3. 搬送波電力: 変調なしの状態で、送信機からの供給電力の平均であり、基本的に無変調信号の電力です。ただし、パルス変調にはこの定義は適用されません。
4. 規格電力: 特定の使用条件下で終段真空管の出力を規定した値を示します。

表示方法

施行規則第4条の4では、送信設備の電波の型式や変調方式に基づいた電力の表示が求められています。ここで述べられている書記法を用いれば、各送信設備の電力を明確に示すことができます。

許容偏差

設備規則第14条には、各種送信設備に対し、上限と下限が規定されており、無線局は免許状に記載された空中線電力の範囲内で運用しなければなりません。例えば、無線通信においては、最高出力を超えないようにし、また確実な通信のために必要な出力の下限も遵守する必要があります。ただし、アマチュア無線などはこの限りではなく、下限が設けられない場合もあります。特定小電力無線局においても、同様に下限が設定されないケースがあります。

測定手法

空中線電力の測定には、一般的にパワーメータが使用されます。近年では、マイクロプロセッサとディスプレイを持つ制御部と、外部センサーを組み合わせた自動校正機器が主流となっています。これにより、より精度の高い測定が可能となっています。

関連項目

空中線電力に関連する項目として、実効輻射電力（ERP）があります。これは実際に発射された電波の強さを示す指標であり、無線通信の効率を評価するために重要な役割を果たします。

以上が空中線電力の概要です。このように、空中線電力は無線局の運用において不可欠な要素であり、その理解は無線通信を円滑に行うために必要です。

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