給電線

給電線とは

給電線（フィーダー線とも呼ばれる）は、無線通信システムにおいて、送信機とアンテナの間、またはアンテナと受信機の間に高周波電流を伝送する伝送線路です。給電線とアンテナの接続点は給電点と呼ばれます。

給電線の種類

給電線には、様々な種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。代表的なものを以下に示します。

平衡型

平行二線式フィーダー: 2本の導線を平行に並べ、絶縁体で保持した構造です。VHF帯やUHF帯で使用されます。種類として、VHF用平行フィーダー、UHF用平行フィーダー、ハシゴフィーダーなどがあります。
二芯シールドケーブル: 同軸ケーブルに似た構造ですが、2本の内部導体が平衡している点が異なります。主に方向探知機のループアンテナなど、雑音の防止と平衡の維持が求められる場合に用いられます。

不平衡型

単線式: 1本の導線を使用する最もシンプルな構造です。中波放送の受信用など、給電線からの不要な電波放射や外部からの雑音混入の影響が少ない環境で使用されます。
同軸式: 中心導体の周囲を絶縁体で覆い、さらにその外側を外部導体で覆った構造です。外部導体がシールドの役割を果たすため、外部からの雑音に強く、特性インピーダンスを一定に保ちやすい特徴があります。種類として、同軸ケーブル、同軸管などがあります。大電力の伝送が必要なテレビ送信所などでは、誘電体の損失を抑えるため、中空の導体管構造（同軸管）が用いられます。
ストリップライン: プリント基板上に形成される伝送線路です。携帯電話など、無線部と給電点が同一の基板上にある場合に用いられます。
導波管: 中空の管状導体（断面は矩形が一般的）の内部に電磁波を伝播させる伝送線路です。マイクロ波以上の高い周波数で使用されます。

給電線の特性インピーダンス

給電線は、電磁波の形でエネルギーを伝送する特性上、特性インピーダンスを持ちます。特性インピーダンスは、給電線を伝わる高周波信号に対する抵抗のようなもので、送受信機器側とアンテナ側でインピーダンス整合を適切に行う必要があります。整合が取れていないと、反射が発生し、電力伝送効率が低下します。

一般的な給電線の特性インピーダンスの公称値は以下の通りです。

VHFテレビ用平行フィーダー線：300Ω
UHFテレビ用平行フィーダー線（メガネフィーダー）：200Ω
同軸ケーブル：75Ωまたは50Ω

関連事項

アンテナ: 無線信号を送受信するための重要な機器です。給電線と組み合わせて使用されます。
同軸ケーブル: 給電線として広く使用されるケーブルの一つです。
バラン (電子工学): 平衡型回路と不平衡型回路のインピーダンス変換を行うための回路です。
* 分配器、分波器、混合器、分岐器: 複数の信号を分配したり、混合したり、分波したり、分岐したりするための機器です。給電線と組み合わせて使用されます。

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