空気調和設備

空気調和設備について

空気調和設備（くうきちょうわせつび）は、温度や湿度、空気清浄度など、室内の環境を快適に保つために設計された建築設備です。主に「空調設備（くうちょうせつび）」と呼ばれ、この設備は人に対する空気調和を「保健空調」、物品に対しては「産業空調」と呼ぶ区分があります。20世紀末以降、地球温暖化やOA化（オフィスオートメーション）の影響で、これらの設備の重要性が増してきました。

空調方式の進化

従来の空調方法では、変化する居住環境に対応することが難しくなっています。特に建物の高層化や気密性の向上に伴い、さまざまな空気調和設備が導入されるようになりました。空調方式は主に熱輸送方式によって分類され、それぞれが特定の用途に適しています。

1. 全空気方式

全空気方式は、熱輸送に空気のみを用いる方式で、特に劇場や体育館のような大空間での利用に適しています。この方式では、ダクトと呼ばれる金属製の筒を通じて空気を輸送します。特徴としては、空調機の集中配置により保守管理が容易であり、大きな換気量を確保できる点が挙げられます。具体的な方式には以下があります。

• - 単一ダクト方式：冷房と暖房を同時に使用することには不向きです。
• - 定風量方式：一定の風量を供給し、温度調整は送風温度の変更で行います。
• - 変風量方式：温度調整を風量の変更によって行うもので、VAV方式とも呼ばれます。
• - 二重ダクト方式：二つのダクトを使い、混合することで温度調整を行うがエネルギー効率に課題があります。

2. 水・空気方式

水・空気方式は、熱輸送に水と空気の両方を使用する方式です。これにより、ダクトスペースを小さく抑えられますが、エアフィルタなどの保守が手間になることがあります。主な方式には、ファンコイルユニット・単一ダクト併用方式やインダクションユニット方式があります。

3. 水方式

水方式は、熱輸送に水のみを使用するタイプで、ダクトスペースが必要なくなります。ただし、換気には他の機器が必要になるため、注意が必要です。代表的な方式はファンコイルユニット方式と水熱源ヒートポンプパッケージ方式です。

4. 冷媒方式

冷媒方式は、小型の建物で最も広く使用される熱輸送形式です。この方式は、冷媒配管を通じて空調が行われ、高いエネルギー効率を実現します。また、各空調ユニットが個別に温度制御できるため、快適性が向上しますが、維持管理コストが高くなる可能性があります。

主な構成要素

空気調和設備は多くの構成要素から成り立っています。これには、換気システム、ダクト、送風機、エアフィルタ、空気清浄器、湿度調整装置、除湿機などが含まれます。ほかにも、温度管理のための冷却および加湿装置が設けられています。

まとめ

空気調和設備は、現代の建物において快適な居住空間を実現するために欠かせない存在です。持続可能な社会を意識した省エネルギー技術や、新しい空調方式は、今後の社会においてますます重要性を増すでしょう。

もう一度検索