空海 (映画)

映画『空海』の概要

『空海』（くうかい）は、1984年4月14日に公開された日本映画です。この作品は、弘法大師空海の入定1150年を記念して全真言宗青年連盟（全青連）によって製作されました。全青連は、東映との提携で映画を制作し、毎50年ごとに展開される真言宗の布教活動の一環として位置づけられています。

製作の背景

この映画は、公開前から200万枚の前売り券を完売し、総額で20億円に達する興行保障を実現しました。その結果、製作費は12億円にのぼり、当時の遣唐使船を復元するために巨額の費用がかけられました。さらに、空海が密教を受けた地である中国西安でのロケーションも行われました。

キャスト

主要キャストには、空海役に北大路欣也、最澄役に加藤剛、薬子役に小川真由美など、豪華な顔ぶれが揃いました。空海の生涯や彼を取り巻く人物たちが描かれ、歴史的な背景や教えを映像で表現しています。特に薬子のキャラクターは、当初の脚本にあった大胆な表現がスポンサーの意向により削除されましたが、彼女の持つ神秘的な魅力が強調されています。

スタッフと制作過程

監督は佐藤純彌が務め、脚本は早坂暁が担当しました。製作は全青連の特定の若手僧侶たちの発案に基づき、1980年代初頭から始まったとされています。また、脚本の完成には早坂の体調不良などが影響し、制作が遅れたこともありました。

当初キャスティングには勝新太郎の名前が挙がりましたが、全青連の意向により北大路欣也が選ばれることとなります。

撮影とロケーション

1983年7月に撮影が開始され、約1か月間中国でロケが行われました。この際、映画の背景にふさわしいロケーションを確保するため、製作陣は奔走しました。プロデューサーの坂上順は空海の故郷とされるエリアに明るく、ロケハンにも精を出しました。また、遣唐使船の製作には1億円がかけられ、非常にリアルな描写が読者の心を捉えました。

編集と宣伝活動

映画が約3時間の長尺であるため、その上映時には休憩が設けられました。佐藤監督はエンディングロールの工夫にも注力し、観客が途中で席を立たないように考慮しました。

宣伝活動も力を入れられ、前売り券は全青連が主導して販売したことで、映画公開前にはたくさんの人々に観客を呼び寄せることに成功しました。特に、学校などでの団体鑑賞を促進し、広く普及しました。

興行成績と評価

『空海』は、1984年の日本映画の中でも特に大ヒットを記録し、興行収入は16億円に達しました。この年の日本映画では第四位の成績を収めたことから、全青連が前売り券の販売において執り行った施策が大きな成功を収めたことが理解されます。

文化的影響

本作品は今なお真言宗の教材として活用されており、映画を通じて空海の思想や教えが広まりました。また、関連する書籍や漫画も製作され、空海にまつわるブームを引き起こしました。

この映画は、空海の生涯を語るだけでなく、その精神や教えが現代に与える影響についても考察する機会を提供しています。

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