空軍2325戦隊209派遣隊

684部隊について

684部隊は、韓国空軍が過去に持っていた秘密作戦部隊であり、その唯一の任務は北朝鮮の首相、金日成を暗殺することでした。この部隊は、1968年の青瓦台襲撃未遂事件の報復として、朴正煕大統領の指示で設立されました。

組織の設立と構成

1968年1月19日、青瓦台襲撃未遂事件が発生した後、韓国中央情報部（KCIA）の金炯旭部長は、報復措置を求めて684部隊の設立を決定しました。国防部はこの部隊を空軍2325戦隊の派遣隊と呼び、高額な報酬や任官後の地位の提示を行い、31名の民間人や無職の若者が隊員として参加しました。684部隊は、北朝鮮の124部隊と同様に編成され、主に過酷な訓練を受けました。しかし、その訓練中には7名の隊員が命を落としました。

暗殺計画の撤回

1970年代に入ると、南北共同声明などの影響を受け、南北の関係が改善され始めました。その結果、金日成の暗殺計画は1971年までに正式に撤回されることとなります。この決定によって、684部隊はその目的を失い、待遇は急激に悪化しました。

実尾島事件

1971年8月23日、部隊の隊員らは待遇改善を求めて反乱を起こしました。教官を6名殺害した後、彼らは朝鮮半島に上陸し、バスを乗っ取ってソウルへ向かいました。しかし、最終的に彼らはソウルで陸軍に包囲され、20名の隊員が手榴弾で自決しました。生存者4名は軍法会議で死刑を宣告され、1972年3月10日に処刑された。この事件は長い間秘匿され、真相は不明のままとされました。

遺族と政府の関係

韓国政府は、1990年代初頭まで684部隊に関する情報を機密扱いにしていましたが、2003年に公開された映画『シルミド』によってその存在が広く知られることとなります。2005年には盧武鉉政権が事件に関する公的な調査を行い、684部隊の事実を認めました。さらに、2009年には隊員の遺族が政府に対して慰謝料の訴訟を起こし、2010年には裁判所が政府に補償を命じるという判決を下しました。

調査と真実の解明

文在寅政権下で、過去の人権侵害の解明が進められ、2021年には真実和解委員会が設立され、再調査が行われました。遺族は、真相解明や名誉回復、未確認の遺骨の収集を目的として活動しており、684部隊の歴史が徐々に明らかにされる過程にあります。

結論

684部隊は、韓国の歴史における暗い側面を反映した組織であり、軍事政権時代における人権侵害の象徴とも言えます。彼らの物語は、国家の秘密が市民にどのように影響を与え、またそれが現在までどのように引き継がれているのかを考える重要な題材と言えるでしょう。

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