突入救助班

千葉県警察 突入救助班（ART）

千葉県警察刑事部に所属する突入救助班（Assault and Rescue Team）、通称ARTは、人質立てこもり事件への対処を専門とする組織です。報道機関や千葉県議会のホームページでは「人質立てこもり事件突入救出チーム」とも表記されています。

概要

ARTは、人質立てこもり事件における人質救出と犯人逮捕を主な任務としています。過去には、2011年に千葉市で発生した路線バス人質立てこもり事件や、2016年に佐倉市内の教会で発生した人質立てこもり事件で、実際に突入作戦を実行し、人質の救出と犯人の逮捕に成功しています。

組織としては、千葉県警察刑事部捜査第一課に設置されている特殊事件捜査係の主導で編成されていると推察されます。この特殊事件捜査係は、誘拐事件や人質立てこもり事件などを担当しており、ARTの活動をバックアップしています。警視庁のSIT（特殊捜査班）では、特殊部隊（SAT）の除隊者を即戦力として起用している例がありますが、千葉県警察においても同様にSATの除隊者がARTに加入している可能性があります。しかし、ARTの具体的な規模や編成については、千葉県警察からの公式発表がないため、現時点では不明な点が多いです。

公開訓練と質疑

ARTは、2008年10月6日に千葉県警察学校において、千葉県議会環境生活警察常任委員会に対して訓練を公開しました。この訓練では、警察学校の建物を使用したリペリング訓練や、高圧放水器を使用した訓練が実施されました。訓練の際に行われた委員との質疑応答では、以下の点が明らかになりました。

訓練場所

射撃訓練は主に警察署の射撃場で行われていますが、実践的な訓練については、廃校などの空き施設をその都度県から借りて行っている状況です。常設の訓練施設は存在しません。

装備品の重量

隊員は、約20キロの装備品を装着した上で、さらに約9キロの盾を携行しており、犯人の制圧・逮捕に向けて機敏な動きが求められます。

なお、質疑の中で言及された警察署の射撃場は、千葉県内では野田警察署と木更津警察署の地下に設置されています。

装備

ARTは、人質救出と犯人制圧のために様々な特殊装備を使用しています。

高圧放水器
「インパルス消火システム」とも呼ばれる、銃のような形状の装備です。高圧で水の塊を発射して犯人を制圧するために使用します。2008年の公開訓練で使用されました。
グレネードランチャー
回転式の弾倉が付いたグレネードランチャーです。2016年に佐倉市で発生した人質立てこもり事件で使用され、報道機関の記事では「ゴム弾を発射する銃」と記載されました。
閃光弾
閃光を発する手榴弾で、突入の際に犯人を無力化するために使用します。2016年の佐倉市での事件で使用されました。
アサルトスーツ
紺色の突入服で、機動隊で通常使用される「出動服」とは異なり、ART専用のものが使用されています。
タクティカルベスト
黒色のタクティカルベストを着用しています。
ヘルメット
黒色のプロテック型ヘルメットを使用しています。2008年の公開訓練では、ARTの捜査員はゴーグルと黒色の目出し帽で顔を隠していました。

銃器に関しては、他の都道府県警察の突入班ではベレッタ社製の拳銃やH&K社製の機関拳銃が使用されている例がありますが、ARTが使用する銃器の種別は不明です。

2011年の路線バス人質立てこもり事件の現場では、ART捜査員は私服の上に灰色のプロテック型ヘルメットとゴーグル、黒色マスクで顔を隠し、腕部に黒色プロテクター、胴には防弾または防刃機能があると思われる紺色の厚みのあるベストを着用していました。

脚注

関連項目

特殊事件捜査係
機動捜査隊
* 特殊急襲部隊

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