窪川原子力発電所

窪川原子力発電所計画の経緯

窪川原子力発電所は、四国電力が高知県高岡郡窪川町（現在の四万十町）での建設を計画した原子力発電所です。この計画は、地域の発展を期待する意図のもとにありましたが、多くの反対運動や政治的な動きが影響し、最終的には実現しませんでした。

計画の始まりと移行

1974年に四国電力は、高知県佐賀町（現在の黒潮町）に第2原発を計画しましたが、住民からの強い反対運動を受け、1975年に窪川町へ計画地を変更しました。この動きは、地域の電力供給の安定化を狙ったものでしたが、住民の意向を無視する形では進められませんでした。

町長選挙と住民の声

1979年、原発立地を争点にした町長選挙では、立地に反対する候補者が当選。この結果は、地域の反対運動がいかに強かったかを示しています。しかし、1980年6月に藤戸進町長が立地推進に転じることで、新たな展開が始まります。彼は四国電力に対し詳細な調査を依頼しましたが、当時の地域の不安は払拭されませんでした。

リコールと再選

1981年3月、藤戸町長に対するリコールが成立し、町民の意思を示す出来事となりました。1982年の町長選では、原発の立地に関する住民投票条例の制定を掲げて藤戸町長が再選され、この地域の意向がどのように進められるのかが注目されました。

チェルノブイリ事故の影響

1986年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故は、原子力に対する世間の不安を増大させました。同年12月、建設予定地の興津漁協は立地調査を拒否し、この動きは地域の反発を象徴するものでした。

最終的な断念

1988年1月、藤戸町長は誘致を断念すると表明し、さらに3月には新たに反対派の町長が誕生しました。さらに1988年6月には町議会が全会一致で建設計画の終結宣言を行いました。この一連の流れから、窪川原子力発電所の建設計画は完全に頓挫したのです。

結論

窪川原子力発電所の計画は、地域の意思や不安が影響し、数多くの波乱に満ちた歴史を持っています。地元住民の声がどのように地域の政策に影響を与えるのかを示す良い事例だと言えるでしょう。今後もこのような事例は、地域のエネルギー政策を考える際の重要な教訓となるのは間違いありません。

参考文献

• - 反原発運動全国連絡会 (編)『反原発運動マップ』 - 緑風出版（1997年）
• - 島岡幹夫（著）『生きる―窪川原発阻止闘争と農の未来』 - 高知新聞社（2015年）
• - 猪瀬浩平（著）『むらと原発ー窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと』 - 農山漁村文化協会（2015年）

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