立江寺 (小松島市)

立江寺（たつえじ）

立江寺は、徳島県小松島市立江町にある高野山真言宗に属する寺院です。橋池山や摩尼院とも称されており、四国八十八箇所の第十九番札所としても知られています。また、地域的に「四国の総関所」や「阿波の関所」としても名高い存在です。本尊には延命地蔵菩薩を祀っています。

本尊とその由来

立江寺の本尊は延命地蔵菩薩で、特別な真言「おん かかかびさんまえい そわか」を唱えます。また、寺のご詠歌には「いつかさて西のすまいのわが立江　弘誓の船に乗りていたらん」という歌が詠まれており、訪れる人々に安らぎを与えています。納経印としては、当寺の本尊と四国総関所を証明する朱印が用意されています。

歴史

立江寺の歴史は非常に古く、聖武天皇の勅願寺として設立されたと伝えられています。行基が光明皇后の安産を祈念して、小さな金の地蔵菩薩を刻み、本尊としたとされています。その後、空海（弘法大師）が立江寺を訪れ、小さな本尊が失われるのを恐れて、一刀三礼で等身大の地蔵菩薩を彫り、本尊をその胎内に収めたと言われています。このとき、寺名も立江寺に改められたとされています。

立江寺は天正年間（1573年 - 1593年）に長宗我部元親の兵火によって全焼しましたが、本尊は無事でした。その後、徳島藩の藩祖である蜂須賀家政により現在の地で復興が行われました。1974年には再び火災に見舞われたものの、本尊は守られ、1977年に再建されました。

境内の様子

立江寺の境内には多くの見どころがあります。山門は入母屋造の楼門で、金剛力士像（仁王像）が安置されています。本堂では大きな地蔵菩薩像を拝むことができ、東京藝術大学の教授らが描いた286枚の格天井画は圧巻です。

他にも観音堂、護摩堂、大師堂、そして多宝塔など、数けたくさんの建物が配置されており、それぞれに特有の目的と美しさを持っています。また、黒髪堂には興味深い伝説が残っており、毘沙門堂には毘沙門天の立像が祀られています。

春には利休梅の花々が咲き誇り、4月にはボタンが境内を彩るため、訪問者にとっては季節ごとの魅力を楽しむことができます。

文化財

立江寺には重要文化財に指定されている絹本著色釈迦三尊像が存在し、これは明治43年に指定されたもので、現在は京都国立博物館に寄託されています。

アクセス

立江寺へのアクセスは非常に便利です。鉄道を利用する場合はJR四国の牟岐線の立江駅から徒歩約0.4kmの距離です。また、徳島バスを利用する場合は立江線で「立江小学校前」下車、こちらも徒歩約0.4km程度です。自動車の場合は、一般道からのアクセスが簡単で、駐車場は有料ですが合計で36台分が用意されています。

まとめ

立江寺は、深い歴史と多くの文化財を持つ名刹です。美しい境内や本尊に魅せられ、訪れる人々に心の安らぎを提供しています。四国八十八箇所巡りの一環としても、多くの巡礼者が足を運ぶ素晴らしい場所です。

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